23日 靭帯手術 白鵬の決断

朝日新聞2017年7月21日35面:偉業の裏側 主治医語る 大相撲の横綱白鵬(32)が実は昨秋、体の重心を支える右足親指のけんと靭帯を再建する手術を受けていた。「チーム白鵬」と呼ばれるサポートグループの1人で、苑田会人工関節センター病院(東京都足立区)の杉本和隆院長(48)が明らかにした。全休を経て4場所後の今年5月、夏場所では全勝優勝。そして歴代最多に並ぶ1047勝と、けがから立ち直った白鵬は完全復活した。
1年前10勝止まり復活へ迷わず 杉本医師によると、2年前に主治医になり、全身を診察した際、親指内側のけんと靭帯が切れていることに気づいた。けがは約半年から1年前に負ったと見られた。しかし、その時は白鵬本人が「少し動き悪い程度」との感触を持っていたため、症状を伝えることはしなった。切り出したのは昨年9月の秋場所前。白鵬が勝てなくなって、弱気の発言をした時だ。
「今のあなたには手術するしかない」迷って決断に時間がかかる患者は多いという。が、白鵬は1分で「やりましょう。いつやりますか」と話したという。「横綱は優勝にしか価値を見ださない異次元な存在。復活するために何が必要か、白鵬は誰よりも分かっていた」と杉本医師は振り返る。
その1年前の秋場所。白鵬は場所中に左ももを痛め、横綱昇進後初の休場をした。復帰して3.4場所目の2016年春、名古屋場所では横綱昇進後最悪となる10勝しか出来なかった。杉本医師が親指の異常を伝えたのは、その後だった。本人は年齢が30歳を超え、体力的な衰えを感じつつあった時期。角界関係者の間でも力の衰えを指摘する声が出始めていた。
手術を受ければ、横綱として初の全休をしなければいけないことも分かっていたが、それよりも強さの復元を求めた。勝負師は自らの体の異変を公にしたがらないものだ。白鵬もそう。親しい関係者がいう。「横綱は自分の体やトレーニングの内容を人に話したがない」。対外的には一緒にやった「遊離軟骨除去手術」、いわゆる「ネズミを取る手術」のみを発表した。
手術の前には足が砂をかめずに腰がやや浮いた感じで高い立ち合いになる「ちょん立ち」が目立っていたが、復帰後は、徐々に感触を取り戻し、1年ぶりの優勝を全勝で飾った先場所は右足に根を張るような感覚が戻ってきた。上体は柔らかく、下半身はどっしりと。白鵬本来の取り口が復活した。
杉本医師は言う。「本人ははっきり口にしないが、稀勢の里が横綱になったことは白鵬にとっても良かった。自分はもうトップではない、と一度認めたことで、勝つことへまた執念を燃やし始めたようだ」
白鵬は2020年東京五輪まで現役を続けることを目標にしている。「開会式で横綱土俵入りができれば、(レスリングで東京五輪に出場した父と)親子で五輪の舞台に上がることになる」と話している。(竹園隆浩)

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