2月9日てんでんこ 首長たち「7」

朝日新聞2018年1月31日3面:「分裂したままでは衰退する」。利便性や活力を得るため、集約へ。 鉄道の新しい高架駅前にニュータウンが広がる。改札を出ると、小学校の防球ネットにかけられた横断幕が目に飛び込む。「子育てするなら山元町」福島県境にある宮城県山元町の「つばめの杜」だ。町の鳥に由来する名称のこの新市街地は、内陸に移されたJR常磐線の山下駅前に造成された38ヘクタールに、住宅、学校、公園、商業施設などが集まる。
被災した沿岸6地区を内陸の3カ所に集める「コンパクトシティー」の中核をなす。全201区画は昨夏埋まった。だが消防団はまだない。民生員も定数に足りず選任中だ。町長の斎藤俊夫(68)は言う。「寄り合い所帯で、隣はどんな人か、とまだ様子見だから」
斎藤も町内の他地区から来た住民の一人だ。東日本大震災では、9ヵ月前に新築した自宅を津波で失った。車中泊や仮設住宅などを経て、2016年12月に家を再建した。宮城県庁出身で、仙台市の合併や漁協一本化に携わり、山元、亘理両町の合併構想もてこ入れした。仙台地方振興事務所長を最後に定年退職した翌月10年4月、前町長の突然の引退に伴う町長選で初当選した。頓挫していた合併を水面下で再開させようとした矢先の震災だった。
津波で保育園児を含む町民637人が犠牲になった。火葬が追いつかず土葬で150人も仮理葬した。そんな状況で、町議会から「早く復興計画を」と迫られる。「生まれる子が年に1人かゼロの地区もある。そんな地区は消えていく」 激しい過疎化が、Uターンして知った故郷の現実だった。22もの地区に分かれたままでは、早期に復興しても、インフラ整備の行政負担も大きい。県土木部にも相談した結果が「コンパクト」だった。
コンパクトシティーは人口減時代のまちづくりとして国が掲げる政策で、震災復興としてはゼロからの検討となる。集約先として、10ヘクタール以上の土地を内陸全域で探した。ただ、1955年に村合併でできた町で、各旧村の伝統や愛着も無視できない。結果、旧村の各中心部と中間にある病院地区の計3カ所に決めた。町議会も計画を認めた。だが、その1年後、斎藤は窮地に陥る。(山浦正敬)

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