2月9日てんでんこ 伝える「20」及第点

朝日新聞2019年2月2日3面:無料から有料へ。新聞の購読申込数が読者からの「通信簿」なら・・。 東日本大震災で国が活用した緊急雇用創出事業は、被災者の雇用を一時的に確保するためのもので、いつかは終わる。岩手県釜石市から広報掲載を受託する形で適用された釜石新聞にも、その日がやってきた。2014年3月末だった。それまでに受け取った補助金は年間約4千万~約6千万円。続けるには、その分を稼がないといけない。ただ、仮設住宅の被災者が新聞代を払ってくれるのか。「無料で全戸配布」から「有料で戸別配達」となると、新たな配達・集金網の構築も不可欠だ。判断のための猶予期間は、市が広告料名目で支援する半年間だった。編集長の川向修一(66)が算定した採算ラインは「月額900円4千部」。目標に届かなければ、廃刊を覚悟した。
8月に有料化の社告を出すと、申し込みの電話が鳴り響いた。だが続かない。その時、コミュニティー再生のために必要だと購読を呼びかけたのが、1面コラム筆者の一人だった故・柏崎龍太郎だった。製鉄会社OBで、被災地域の先頭に立ち、「ご意見番」と呼ばれた。生涯4度目の津波被災にも負けず、自宅を再建した。新聞の購読申込数が読者からの「通信簿」ならば、結果は5千部の「及第点」だった。ただ、震災は人口減を加速させ、震災前に4万人だった市の人口は昨年末で3万5千人を下回った。高齢化も進む。創刊後に加わった古川直子を含めて記者4人の平均年齢は50代半ば。川向は一時、病に倒れて入院した。川向は漏らす。
「厳しい。いつまで続けられるか」現料金は千円。部数が徐々に減る中、今も時に新規申し込みがあるのが救いだ。川向は地元の夕刊紙時代、日本選手権で7連覇した新日本釜石ラグビー部を追いかけた。その「北の偉人」らが誘致に尽力したラグビーワールドカップが今秋、日本で開かれる。そのうち2試合が、釜石の被災した小中学校跡にできた競技場である。市は「復興を世界に発信」を副題に掲げ、釜石新聞も本番に向けて取材が続く。川向らが創刊時から1面の題字に添える「復興」の2文字。「釜石が復興できた時に外す」と決めている。(山浦正敬)

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