2月9日 教えて! 税制改正⑤

朝日新聞2018年1月31日5面:「出国税」どんなことに使われるの? 「観光立国は地方創生の起爆剤だ。観光先進国にふさわしい快適な旅行環境の整備を行う」安倍晋三首相は22日の施政方針演説でそう述べ、観光振興に力を入れていくことを強調した。その費用を賄うため、2018年度の税制改正に急きょ盛り込まれたのが「国際観光旅客税(出国税)」だ。19年1月7日以降、日本を出国する人から1人1回1千円を航空運賃や船舶の運賃に上乗せして微収する。外国人だけでなく、出国者の4割を占める日本人も対象だ。航空機の乗員や、入国後24時間以内に出国する乗り継ぎ客、2歳未満の子どもは対象外で、財務省は年430億円の税収を見込んでいる。では、どういうことに使われるのか。政府は、東京五輪が開かれる20年の訪日客を17年より4割多い4千万人に、30年には6千万人に増やす目標を掲げる。その実現に向け、快適に旅行できる環境の整備▽海外への情報発信の強化▽観光資源の整備による満足度向上ーの3部野に使うと説明する。
18年度予算案では3ヵ月分、60億円の税収を見込み、顔認証ゲートの導入や文化財などの多言語解説の整備といった施策を盛り込んだ。しかし、使い道を特定の目的に絞った税金は、毎年入ってくる税収を使い切ろうと無駄遣いの温床になりやすい。過去にはガソリン税などの道路特定財源がマッサージチェアの購入などに使われ、批判を浴びたこともある。いまの政府の説明だと、将来使い道が広がる懸念はぬぐえず、30日の衆院予算委員会でも野党から「新しい税をつくるにしては安易な設計と言わざるを得ない。使途はもっと明確にするべきだ」(希望の党の稲富修二氏)との批判が出た。
国税として92年の地価税以来、28年ぶりとなる新税にもかかわらず、十分な議論が尽くされたとは言えない。昨年9月に発足した観光庁の有識者会議は、2ヵ月足らずの協議で導入を提言。与党の税制調査会でも異論は出ず、ほぼ提言通りに異例のスピードで導入が決まった。
背景には、観光予算を早く増やしたい首相官邸が検討を急がせたことがある。その結果、公共事業を見直すなどの歳出削減で財源をひねり出すことを十分検討せず、増税が決まった。無駄遣いにつながらないか、厳しいチェックが必要だ。(長崎潤一郎)

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