2月9日 ウラン厳重管理じゃないの?

東京新聞2019年2月2日24面:ネット売買の謎 適法な所有可能 国内で1800個人・団体所持 「核物質取り扱い体制ほころび直せ」 原爆の原料や原発の核燃料として知られるウラン。それが誰でもアクセスできるネットオークションで取引され、警視庁が操作に乗り出していることが判明した。出品者の入手ルート、落札者の意図など謎が多いこの事件。背景に何があるのか。 国内のウランなど核燃料物質の監視・管理をしている原子力規制庁保障措置室の担当者によると、問題のウランに気づいたのは2017年11月。「外部の人から『ヤクオク(ヤフーオークション)でウランを売っている』と連絡があり、調べたら本当に出品されていた」という。ウランの所持、譲り渡しには原子炉等規制法(炉規法)の許可が必要。もちろんこうしたオークション販売を規制庁が許可することはない。同庁から通報を受けた警視庁は18年に捜査を始め、すでに出品者や落札者から任意で事情聴取している。出品されていたのはガラス管に入った微量の粉で、サイト上では「ウラン99.9%」と書かれていた。核燃料用に天然ウランを濃縮した際に出る残りかすの劣化ウランなどとみられている。
そもそも個人で入手できるシロモノとは思えないが、同室担当者によると、天然ウラン・劣化ウランは300㌘以下なら、年2回規制庁に報告することで所有可能。国内では約1800の個人、団体、企業、大学などが所持している。実は法規制が始まる1960年ごろまで、ウランなども比較的自由に流通していた。「個人で所有しているケースの多くは、昔よくわからない経緯で入手したものが出てくる『わき出しモノ』。きちんと計量管理などが行われている場合は許可を出す」という。今回のウランがこうした市中のものか、海外から持ち込まれたものかは不明。それにしても公然と売られていたのはなぜか。
ITジャーナリストの三上洋氏は「ヤクオフにしても、(大手オークションサイトの)メリカリにしても、過去に違法性のある商品の出品が問題となり、現在は特定のキーワードなどをチェックする人工知能(AI)を導入している。しかし完全に防ぐのは無理がある」と話す。流通している商品が膨大なうえ、精製前の「ウラン鉱石」など観賞用や資料用として厳しい規制も受けずにネット販売されているものもある。「ウラン」などのキーワードで網にかけるのは難しいらしい。
核不拡散問題に詳しい長崎大核兵器廃絶研究センター長の鈴木達治教授は「劣化ウランであれば放射能はそれほどでもなく、所持だけならあまり健康影響はないだろう。しかし、人体に取り込まれて残留すれば、重金属の属性が現れて危険だ。再濃縮して核爆弾の原料としたりするのは非現実的だが、毒物としてばらまくテロに使われる可能性はある」と指摘する。鈴木氏によれば、核物質がどこにあるかは国際原子力機構(IAEA)によって厳重に監視されているが、非合法な核物質の国際取引や出所不明な核物資の発見は世界で年間数十件起きているという。鈴木氏は入手先を追うことは重要としつつも、こう語る。
「日本はIAEA保障措置体制の優等生とわれており、今回も国内の施設などから持ち出された可能性は低い。ただ、核燃料サイクル工学研究(茨城県東海村)で初歩的ミスから放射性物質漏れ事故が起きるなど、核物質の取り扱いや管理体制のほころびも見える。こういう体制のまま、大量の核物質を扱う再処理工場(青森県六ヶ所村)を稼働させてよいのかといったことも考えるべきでは」 (大村歩)

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