2月7日 平成とは 消費税「4」

朝日新聞2019年2月1日夕刊10面:「説明努力が足りぬ」 中曽根内閣の「売上税」、続く竹下内閣の「消費税」に激しい反対運動を展開したのは、大手スパーのライフストア(現ライフコーポレーション)会長、清水信次(92)が議長を務めた「税制国民会議」だった。清水は、戦後の闇市で「の商売から大手チェーンを築きた稀代の経営者。政治的発言を控えがちな日本の経営者とはひと味違う。戦争は政治の無策と軍部の暴走がもらたした悲劇だと考え、「政治には国民に丁寧に説明する努力が必要だ。うそをついたり、公約を破ったりしたら政治はおしまいだ」とよく話していた。
消費税が導入された1989年の流通業界は、再編問題に揺れたその中心人物だった清水のもとに私も通ったが、話の半分以上は消費税問題や政治について。流通再編より熱がこもっていた。岸信介、福田赳夫、現在100歳の中曽根康弘ら歴代首相とも親交が深かったものの、売上税、消費税をめぐってはぶつかった。中曽根は「国民に投網をかけるような間接税をやる考えはない」と公約した86年の衆参同日選挙で大勝した後、売上税法を国会に提出した。清水はスーパーや百貨店など自民党支持の業界団体や野党を巻き込み、「国民への説明努力が足りぬ。公約違反だ」と、反対の急先鋒になっていく。
「税制国民会議」の会長は旭化成会長の宮崎輝、副会長は日本百貨店協会会長で三越会長の市原晃。経営者が野党や消費者団体と一緒に、鉢巻き姿で「大衆課税」に反対するこぶしをふりあげた。経済界での批判にも屈せず、様々な組織と広く手を結ぶ経営者の姿を目の当たりにして、私は、学生運動家らの言葉を思い出した。「連帯を求めて孤立を恐れず」、ぶるっときた。反対運動は、おさまることなく続く。そんな清水らの動きを、首相になった竹下は無視できなかった。
=敬称略 (元朝日新聞編集委員・安井孝之)

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