2月4日 東京新聞 社説 物価見直し

東京新聞2019年1月29日5面:お金を天下に回さねば お金が天下を順調に回っているとは誰も思っていないだろう。日銀が物価見直しを引き下げ、目標とする2%の上昇は一段と遠のいた。形骸化した数値目標を続ける意義を改めて問い直すべきだ。
日銀は先週の発表で、2019年度の物価上昇率の見通しを昨年10月時点の1.4%ぁら0.9%に引き下げた。理由について日銀の黒田東彦総裁は「原油価格下落の影響が大きい」とした。だが携帯電話料金の引き下げも見込まれ、2%を達成するとは、とても思えない。
物価上昇といっても日銀は故意にインフレを起こそうとしているわけではない。物がよく売れ賃金が上がり景気の好循環が続く。そういう経済状態をつくれば、結果として2%程度の上昇になるはずだという予測値ともいえる。そのために日銀が13年春から続けているのが異次元とよばれる大規模金融緩和だ。銀行経由で膨大な量の国債を引き受けるなどして資金を流し、お金が循環するよう促す仕組みである。しかし、その効果は上がっていない。では、なぜ目標を取り下げないのか。
日銀が自身の責任を意識し、掲げた旗を降ろしにくい状況に陥っていることは十分考えられる。同時に2%は、米連邦準備制度理事会(FRB)など、主要な中央銀行の共通した目標値でもある点も指摘せねばならない。日本だけが急に取り下げると、物価上昇しないまま金利は上げると見なされる可能性がある。それは急激な円高となって株安に直結する恐れもある。政府がその道筋を望んでいないことは明白だ。ただ、国債の買い入れが膨大な国の借金の増加に一層拍車を掛けていることは確かだ。国の財務悪化は市場の標的になりやすく、資金の国外流出を招きかねない。長引く低金利で銀行経営も悪化している。利息収入がほぼないため、年金で暮らす高齢世帯を中心に家計にも悪影響が出ている。実現の見通しがない目標達成のために、不安が増大しては本末転倒だ。最大の問題は政府が景気へお対応を金融政策に過度に依存している点にある。政治的に痛みが少ないからだ。金融政策は景気にとり副作用を伴う対処療法という側面を持つ。大事に至ってからでは遅い。政府・日銀は今の方法ではお金が回らない現実を直視し、まず慎重に緩和脱出の準備をすべきだろう。

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