2月3日 平成とは 金融危機「6」完

朝日新聞2019年1月28日夕刊8面:我々は何を守ったのか 金融危機の火の手を止めるには国民負担が伴う公的資金の投入は避けられなかった、と今も思う。ただ、メーカー出身の財界人は当時、こう話していた。「宴席でね、銀行は常に床の間を背にふんぞり返ってきた。その銀行の経営が悪いから公的資金で守ると言われても、心の底からは歓迎できないんだよ」 優秀な人材を高給で根こそぎ集め、経済界で影響力がずば抜けていた金融界に対しては、産業界も国民も複雑な感情があった。そのうえ、ふつう企業は倒産しそうになっても公的資金で守られることはないのに銀行は守られるのだ。
政府は「国際競争力がある巨大銀行、地域で産業を育成する有力銀行を育てることは日本経済のためになる」と理解を促した。しかし、大手銀行の頭取たちの本音は、必ずしもそれに応えたいというものではなかった。ある頭取は「銀行同士の合併は、得るものより、統合に費やすエネルギーが大きすぎて、失うものの方が大きい」と言っていた。それでも危機当時に20行あった大手銀行は、再編ラッシュを経て7グループにまとまった。すべてはToo Big to Fail(大きすぎてつぶせない)を徹底し、生き残るためだったか。私はこれまで何人もの銀行幹部たちに「再編後、金融界はどんなイノベーション(革新)を生んだのか?」と尋ねてきた。ひとりとして「これだ」ち自信をもって答えてくれた人はいない。
メガバンクが国際的に大きな存在感を発揮しているわけでもないし、便利で画期的な利用者サービスを生んだという話も聞かない。すぐ思いつくのは、コンビニATMの普及と便利さだが、それも小売業が主導したものだ。最近はどの銀行も店舗や人員、ATMのリストラにばかり精を出している。さびしい現実である。
(編集委員・原真人)

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