2月27日てんでんこ 計画運休「8」駅

朝日新聞2019年2月22日3面:「運休を知らない客が来るかも」。シャッターは閉めずにいた。 再開発ビルに囲まれたJR大崎駅(東京都品川区)。山手線、埼京線、湘南新宿ラインに加え、東京臨海高速鉄道りんかい線が乗り入れる同駅には、1日約33万人が乗降する。台風24号が九州南部に最接近していた昨年9月30日午前、都内の自宅にいた駅長の佐々木隆志(56)の携帯電話にJR東日本東京支社からメールが届いた。「首都圏全線の運転を午後8時に終える。まもまく発表する」。佐々木はスーツに着替え、駅に急いだ。
まず頭に浮かんだのは「帰宅困難者を出してはならない」。首都圏の全JR線が終日運休した東日本大震災では、帰れなくなった人々が街にあふれた。佐々木は副駅長の金井浩司(44)に電話をかけ、駅に備蓄してある毛布や飲料水、簡易トイレをすぐさせるよう指示するとともに、広く計画運休を伝えるにはどうしたらいいのかに考えをめぐらせた。支社から送られてきた乗客向けの掲示板はA4判の大きさ。これをポスターほどの大きさに拡大印刷し、自動改札の真正面に置いた。構内放送は乗車マナー呼びかける内容をすべて取りやめ、ひたすら計画運休を伝える内容を繰り返した。駅員と一緒に構内に立ち、戸惑う客に説明して回った。
運休は午後5時以降、路線ごとに順次始まった。それでも、駅に来て初めて計画運休を知る客は途絶えなかった。「どこまでならば行けるのか」。駅員は尋ねられるたび、関係駅に連絡し最新情報を確認して伝えた。山手線の車両基地は駅南側にあり、基地に戻る電車は大崎駅が終点となる。午後8時を過ぎると、運転を取りやめる電車が次々とホームに入ってきた。駅員は2人1組となって1号車と11号車から社内を見回り、終点だと気づかない客を降ろしていった。遅れた新幹線への対応もあり、山手線の運転が終わったのは、午後10時半ごろ。だが、駅のシャッターは雨風が激しくなった翌日午前0時過ぎまで閉めずにいた。計画運休を知らない客が来るかもと考えたからだ。日付が変わったころ、佐々木はホームに出てみた。体が飛ばされるほどの強風に、駅前の信号機が揺れていた。「計画運休の判断は間違っていなかった」。そう確信した。だが、線路のダメージは予想を超えていた。 (細沢礼輝)

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