2月26日 陣痛促進剤 危険性知って

東京新聞2018年2月18日26面:妻が被害 事故防止訴え 陣痛促進剤が原因とされる出産時の事故が続いている。妻が1990年に被害者となった大阪府の高校教論、勝村久司さん(56)は、その後、再発防止に向けて活動し、被害者を公的に救済する制度設計にも関わった。だが、教え子の妻(32)が自分の妻と同様の事故に遭い、長女を失っていたことを昨年末に知った。「今も変わっていない」と勝村さんはため息をついた。
滋賀県在住の教え子の妻、A子さんから話を聞いている間、勝村さんは「うちと同じだ」と何度も相づちを打った。陣痛促進剤について、危険性も含めての説明が不十分なまま点滴され、過度に子宮が収縮して胎児に負担がかかり、母子が危険な状態に。十分な監視がされずに、異常を訴えても聞き入れてもらえず、より重篤な状態に対処できる病院への搬送といった適切な対応も遅れた。赤ちゃんは、帝王切開で生まれた直後に失血性ショックで亡くなった。
事前説明 使用制限 守られない例も 陣痛促進剤には、陣痛を誘発し、促進する作用がある。日本では、出産のタイミングを調整するために多くの妊婦さんに使われている。厚生労働省のデータを基に、勝村さんがまとめたところ、出産は休日に少ない。例えば、2016年12月でも、月曜から金曜までのウイークデーは毎日ほぼ3千人の子どもが生まれたが、土曜、日曜と祝日には、ほとんどの日で2千人以下。最多は27日の火曜で3415人。最少は4日の日曜の1772人で、2倍近い差がある。
また、1日のうちでも時間帯によって偏りがある。午前9時から午後6時までの時間帯に多い。つまりは、医療機関が一般に診療を受け付けるウイークデーの昼間に多くの子どもが生まれている。勝村さんは「陣痛促進剤を使わない助産所では、曜日や時間帯で出産数に大きな違いはない。多くの医療機関で診療時間に出産を合わせる計画分娩が行われている」と推測する。
計画分娩でも、母子に影響がなく、健康な赤ちゃんが生まれれればいい。問題なのは、陣痛促進剤は感受性に200倍もの違いがあって、妊婦によっては過強陣痛を起こし、その結果、胎児が亡くなったり、脳性まひになったり。場合によっては母体の子宮破裂といった危険性もあることだ。このため、陣痛促進剤の使用には指針があり、事前の説明が必要。さらに使い方や使う量に制限があり、胎児の心拍数を確認するための分娩監視装置も使うことになっている。だが、徹底はされていないようだ。
病院の対応に納得できなかったA子さんは、退院後にカルテなどを開示請求し、専門家のアドバイスを受けながら、何があったのか分析した。見えてきたのは、子宮口が十分の開いていないのに、早く産ませようと、漫然と陣痛促進剤を使っていたことだった。病院に説明を求めると、最初は丁寧に話したが、不可解な点について追及し、法的措置を取る姿勢を見せると、急に前言を撤回したり、説明が二転三転したりしたという。A子さんは「病院は説明慣れしていて、『ほとんどの方は、納得してもらえるのですが‥』とも話していた。私のような被害者はもっといるのでは思った」と言う。
勝村さんたちの活動によって、陣痛促進剤の被害防止策や被害者の救済策は改善されてきているが、繰り返される悲劇。A子さんは「何をどうしても子どもは帰ってこないが、もう誰にも同じ思いをさせたくない。原因を明らかにして、何とか再発だけは避けたい」と話した。(鈴木伸幸)

 

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