2月26日 政治家の死後さまようカネ

朝日新聞2019年2月21日35面:政治団体の処理ルールなし遺族受け取りも可 政治家が死去した後、政治団体に残された金をどう扱うかー。そんな課題が長年、積み残されている。政治資金規正法が残金処理のルールを定めず、実態もほとんど知られていないためだ。遺族も、どう対応すべきか試行錯誤している。2017年5月21日、与謝野馨元財務相が肺炎で亡くなった。歌人の与謝野鉄幹・晶子夫婦の孫で、東京を地盤に衆院議員を10期務めた。死去の直前、与謝野氏の政治団体「駿山会」には約1億3千万円が残っていた。元秘書(70)や政治資金収支報告書などによると、駿山会の主な収入はセミナーの事業費や寄付など。
総務省によると、政治団体の代表者が死亡した場合、後継者が政治団体の新たな代表者となってそのまま資金を使うことも、別の団体に資金を移すことも、遺族などが資金を受け取ることもできる。その場合、相続税や贈与税はかからない。ただし、個人が受け取る場合は所得税の対象になる。与謝野氏の場合、生前、「駿山会を閉じてほしい」と指示していたため、元秘書や次男(49)らが協議し、駿山会の解散を決めたうえで次男を代表とする三つの政治団体を立ち上げた。団体への寄付の法定上限は年間5千万円であるため、顧問税理士の指示を受けて亡くなる2日前の日付で計約1億3千万円を3団体にわけて寄付した。
その後さらに、3団体の一つ「新駿山会」から「与謝野馨東京政治経済研究所」に2200万円を寄付し、与謝野氏の「お別れ会」の経費などに使われた。次男におると、その後、自叙伝の自費出版や元秘書の退職金などにも各団体の金を使ったが、18年末時点でなおも計5千万~6千万円あるという。政治団体は後継者が引き継ぐケースもあるが、次男は取材に「私が政治家になる可能性は低い」という。残金について「処理期限のルールはないので、いまも決まっていない。兄とも話し合い、論理的に問題がないようにしたい」ほかのケースはどうか。民主党政権時代に官房長官や法相を務め、昨年10月に亡くなった仙谷由人氏の政治団体は、元秘書らが解散の準備を進めてきた。本人から政治団体に700万円の貸し付けがあり、残金から遺族に返金。残りは寄付者に返金することも検討したが、連絡がとれない人もおり、難しいという。事務担当者は「総務省などに相談しながら、残金は適切に処理したい」としている。
「国会でで議論を」 政治資金に詳しい上脇博之・神戸学院大学教授は「実質的に遺族に相続されたら、法的に問題がなくても道義的な違和感が残る。そもそも残金処理の規定がないことが問題だ」と話す。政治団体は基本的に、政治活動のために集めた資金を管理している。政治活動を応援するために支持者らが寄付するほか、税金である政党交付金が政党を通して入ってくることもある。上脇教授は「寄付者への返金を義務化し、返金できないときは国庫に納めるほか、解散後も残金がゼロになるまで収支報告書の提出を義務づけるといったルールが必要。早急に国会で議論すべきだ」と指摘する。(張守男)

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