2月24日てんでんこ 計画運休「5」使命

朝日新聞2019年2月19日3面:「JRが止めるなら、むしろ動かす」。鉄道マンのプライドがほとばしった。 六甲山のふもとを走る阪急電鉄神戸線は、山頂付近から吹き下ろす北風「六甲おろし」が台風の影響で発生するかどうかが運航の可否を握る。「風速は」「雨量は」「何時から強くなるのか」。翌日の台風21号直撃が濃厚となった昨年9月3日早朝、運輸部課長の山中一樹(42)は受話器を握り、問いを繰り返した。電話の相手は気象予報会社「ウェザーニューズ」の担当者。京都、宝塚、神戸の本線や支線ごとの気象データを提供し、24時間対応する契約だ。山中は「情報収集がすべて。ガツガツ聞く」。
午前8時、各課長が集まる打ち合わせで、山中は翌朝の通勤・通学ラッシュ帯は運行し、その後本数を減らして、昼ごろに風雨が強まれば運休するというプランを提示した。見通しの確度に自信はあったが、利用者への「予告」はなし。「動かせる限り、動かす。もちろん安全は確保した上で」との方針だ。この日、午前にJR西日本、午後に南海電鉄、京阪電鉄が翌日の全面運休を予告した。山中の鉄道マンとしてもプライドがほとばしった。「並走するJRが止めるなら、むしろ動かす方向で考える。そうやないと、京阪神の輸送が成り立たないでしょう」
雨風が強まった4日午後0時45分、阪急は午後1時からの全面運休を発表した。次の仕事は再開の判断だ。「朝動かしたなら、帰りの足も確保する」。他社が早々に終日運休を決める中、当日中の再開を目指した。しかし、京都線だけは大小無数の飛来物の処理が追いつかず、午後10時半に終日運休を決めた。広報部課長の稲荷英樹(49)は、社会の変化を感じている。かつては災害時に他社が運休する中、運転を続ければ「阪急最強」とてもはやされたが、「今は『何時に止めるのか』という声が目立つようになった」。昨年の台風や豪雨では、運休の可能性があることを前日に駅などで呼びかけ、復旧状況を知りたいという声には「試運転列車の点検開始」をホームページで伝えるようにした。運転計画の現場を預かる山中はもがき続ける。台風21号で全線運休の15分前だった「予告」は、同じ9月の24号では3時間前へと早めだが、「もう少し長く運転できた。ベストアンサーではないが、引き出しは増えた。動かせる時は動かし、最後まで気象情報を見極めるやり方に変わりはない」。 (波多野大介)

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