2月23日 森友問題で「朝日 哀れ、惨め」

東京新聞2018年2月15日28面:異様な首相発言なぜ批判少ない 敵か味方か国民分断 「哀れですね。朝日らしい惨めな言い訳」とフェイスブック(FB)に書き込み、13日の国会答弁でも朝日新聞批判を展開した安倍首相。いくら自身がかかわる問題だといえ、最高権力者の姿勢として品がなく、資質を疑わせる物言いだが、批判の声もまた、あまり大きくならない。一体なぜか。
問題の書き込みは、6日の和田政宗参院議員(自民)のFBにされていた。朝日新聞は昨年5月、森友学園の籠池泰典・前理事長の証言として、同学園が財務省に対し、小学校の建置趣意書に「安倍晋三記念小学校」と書いて提出したと報道。だが同11月、実際には「開成小学校」と書かれていたことが、財務省の開示資料で判明した。この件について、朝日新聞は6日、事実を認めて検証記事を掲載したが、首相は批判を繰り返している。
13日の衆院予算委で、首相はFBの書き込みは自分がしたとした上、同新聞がサンゴ礁に傷を付けた問題や、福島原発事故の「吉田調書問題」などを並べたて、今回の問題に「あきれたわけです」と答弁。とはいえ、森友学園問題の焦点は国有地の格安の払い下げにあり、首相の批判は焦点からかけ離れている。
首相の権力は絶大だ。それゆえ抑制的な振る舞いが求められるが、ここまで特定のメディアを目の敵にして、それを公言する首相は過去にいたのだろうか。政治評論家の森田氏は「前代未聞ですよ」と目をむく。「歴代首相はみなメディアに批判された。田名角栄もぼろくそに言われたけど、権力者というのはそういうものだ、有名税だからと割り切っていた。その点では安倍首相の祖父の岸信介も、佐藤栄作もそう。それが首相というものだ」
森田氏は安倍首相を「お子さま総理」と評する。やじや自らへの批判を異常に気にして、子どもっぽく他者を攻撃する。「長期政権化したことで、その性質がはっきりしてきた。傲慢やおごりが背景にあり、メディアの向こうに国民がいることを忘れている」ただ、そんな常識外れの首相なら、国民から「おかしい」の大合唱が上がってもいいはずだが、現実にはそうはなっていない。内閣支持率も依然、高い。駒沢大の山崎望教授(政治倫理)は「これまで政府と国民の間には緊張感のあるタテの関係があった。しかしいまやタテではなく、安倍首相とそれに同調する人々と、そうではない人々がヨコに関係にあり、首相側の人々はヨコにいる人々を共存不可能で妥協すべきでない敵、異物と考えている。あたかも内戦のような状態だ」と指摘する。
増える「統治者目線の被統治者」 山崎教授によれば、首相の書き込みや国会での朝日新聞批判は言論の委縮や弾圧につながりかねない。だから深刻な問題なのだが、首相の同調者層はそうした批判を「敵による攻撃」としかみなさないという。どうして、そうした心性に陥るのか。山崎教授は国家が国民を保護できず、自己責任という価値観が浸透した結果、「自分だけは国に見捨てられたくない」という心理が強まっているとみる。「自分だけは」という感情は「他者を排除したい」「見下したい」という感情に横滑りしがちだ。
一方、会員制交流サイト(SNS)の登場で偽政者と対等だと勘違いしたり、一体感を持ちやすくなった人々が、タテ関係を忘れて「統治者目線の被統治者」になったと解説する。山崎教授は「自分で自分の首を絞めている人がたくさんいるのに、気づけていないのではないか。敵にされるのは次は自分かもしれないのに」と懸念した。(大村歩)

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