2月21日 スマートメーター設置断れる?

東京新聞2019年2月16日24面:拒否したら「電気止める」「東電に迫られ 電線外されたまま」 「スマートメーターの設置は断れるのですか?」不良品や工事ミスでの火災の記事を読んだ読者の皆さんから質問が届いている。東京電力側に問い合わせると、なんと1週間たっても回答がない。一方、現場では拒否する人に「電気を止めるぞ」と迫っている。火事になったら、東電側は責任を取るのだろうか。 高い山に囲まれた山梨県のある集落。森に囲まれ、近くに小川が流れる古い民家の壁にも次世代型電力計のスマートメーターがあった。下部にある2本の電線のうちメーターから室内へ電気を送る電線が外れ、中ぶらりんになっている。
「スマートメーターを拒否したら、東電から『電気を供給しない』と言われた。電気が使えない状態で、この寒い冬を越さないといけない」。住人の米国人男性は困り果てる。美しい山の風景が気に入り、男性がこの古い空き家を購入したのは2018年春。スマートメーターはすでに設置されていた。リフォームが終わり、いよいよ引っ越そうという18年12月、東電に「アナログに変えてほしい」と頼んだところ、「できない」と拒否された。その後、何度頼んでも却下。最終的に「スマートメーターでなければ電気を供給しない。嫌なら他の手段を選んで」と迫られ、今に至っている。
男性は以前から、スマートメーターの問題に関心があった。電気の使用量を送信する時の電磁波が健康に及ぼす影響や、データ流出によるプライバシーの侵害を不安に思っていたからだ。引っ越し前のアパート住まいの時は交換を拒否し、アナログメーターのままで通したという。男性は「長年、東電の客としてちゃんと料金も払ってきた。こんなに嫌だと言っているのに、なぜ強制するのか。夢のマイホームが、東電のせいで悪夢になった」と憤る。スマートメーターでなければ電気を止めるー。
そんな言葉で設置を迫る事例は他にもある。市民団体「電磁波問題市民研究会」には、この例以外に3件の相談が来ている。そのうち1人が群馬県の男性。18年8月に交換を拒否すると、東電側は「電気の供給を停止する」と警告する文書を送ってきた。後に研究会が抗議すると文章は撤回された。会の大久保貞利事務局長は「現場ではかなり強制的に設置を進めている。電気を止めることは、人の生き死にに関わる。泣き寝入りして明るみに出てこないだけで、そう言って迫られた人は相当いるのではないか」と推測する。
「こちら特報部」は、今月8日、東電の送配電を担う「東京電力パワーグッリド」に、スマートメーターの設置を拒否できるかどうか質問した。何度も催促してるのに回答は来ない。15日夜になっても広報担当の寺内壮氏は「現在、社内で回答を調整中です」と語るだけ。現場で口にする「電気を止める」は、公式には説明できないことなのだろうか。(石井紀代美、中沢佳子)


同日25面:強制する法律ない■電力供給義務は明記 客家の被害は「責任問える」「危険性伝え、損害賠償応じて」 そもそも、スマートメーターの設置を強制する法律はない。設置推進は、10年6月に閣議決定されたエネルギー基本計画が根拠。ここで、「2020年代の可能な限り早い時期に、原則すべての需要家にスマートメーターの導入を目指す」と目標が掲げられた。国がそうしたという希望でしかなく、応じるかどうかは契約者の判断によるはずだ。一方、電力会社には電力の供給義務が法律で明記されている。電気事業法の第十七条だ。「正当な理由」がない限り、電力供給を拒んではならないとある。
東京理科大の橘川武郎教授(エネルギー産業論)は「電気を送るために必要な鉄塔や電柱、電線などの大規模な設備は誰でもできるわけではない。大災害で供給できなくなったりするのは正当な理由になる」と説明する。しかし、スマートメーターの拒否は「該当しないだろう」という考え。「使った電力に対してきちんと料金を払うことで、消費者の義務は尽くされる。交換しないと正しく電気料金を計算できないのなら話は別だが」と語る。消費者問題に詳しい紀藤正樹弁護士は「電気・ガス・・。水道は公共性が高く、誰もが等しく受けられる『ユニバーサルサービス』が求められる。平等性の観点で問題になる可能性がある。
つまり、スマートメーターでなければ電気を止めるのであれば、まだアナログメーターの人で電気が供給されている人との間で不平等が生じる」と話す。橘川氏も「メーターを拒否したから電気を供給しないというのは、ちょっと信じられない対応だ」と首をひねる。国も問い合わせた。資源エネルギー庁電力産業・市場室の今泉亮課長補佐は「客の事情を丁寧に聞きながら、対応するべきだ」と答えた。こうやって見ると、東電側はかなりの無理を通してスマートメーターの設置を進めているのでは、という疑問が浮かぶ。では、発火して家が燃えたり、死傷者が出たりした時に、東電側の責任はどうなるのか。
「民法の債務不履行と不法行為に基づき、責任を負うことになるだろう」。全国消費者行政ウォッチねっと事務局長を務める拝師徳彦弁護士は語る。不法行為は、故意や過失で他人に損害を与えること。交通事故の被害者が賠償責任を追求する時などで使う。債務不履行の責任は、売買など契約を結んだ時、約束通りに支払いをしなかったり、品物を渡さなかったりした時に問われる。
また、不良品だったことから発火した場合には、製造物責任法を使って、製造会社を追求することも可能だという。少しだけ心配なのが、スマートメーターの計測データを自宅に送ってもらうサービスを使う時の規約。「当社は、サービスの利用に伴う損失、損害について賠償の責任を負いません」とあるのだ。拝師氏は「このような規約は、消費者契約法で無効だ。東電側が責任を免れることはできない」と切り捨てる。根拠は同法八条。事業者の債務不履行や不法行為によって消費者に生じた損害について、責任を免除するなどとした規約の条項を無効としている。東電側が賠償責任をどう考えているか。これについても質問しているが、やはり回答は来ていない。東電側にあるのは放擲責任ばかりではない。拝師氏は「誠意を持って製品の危険性を説明し、速やかに安全な製品に交換しなくては。発火による被害の状況に応じて消費者に謝罪し、損害を賠償するべきだ」と消費者問題としての対応も求める。

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

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