2月20日てんでんこ 首長たち「15」

朝日新聞2018年2月13日3面:人口減を交流で補う。「大きな鉢植えより、小さな芽に水をやる」 宮城県女川町長、須田善明(45)の予想を超えた事態あは二つあった。一つは、大幅な人口流出だった。「住む所がないのだから減るのは仕方ない」と思っていたが、1万人いた人口が6300人まで減るとは思わなかった。県内被災地のなかで最も減り幅が大きい。もう一つは、JR女川駅周辺に整備された4.3ヘクタールの商業エリアの人気だ。東日本大震災の前は閑散としていたが、いまはイベントを開くと車の渋滞が隣の石巻市まで続くほどにぎわう。昨年のゴールデンウィークには7万7千人が、クリスマス前の3日間も悪天候にもかかわらず1万3千人が来た。駅周辺の商店は50軒ほどだが、来年春までには70軒に増える。中核となったテナント施設「シーパルピア女川」の飲食店や釣具店など27店の約半分は、町外からと、震災後に創業した店舗だ。
定住人口が減った分、交流人口を取り戻しつつあるのだ。「減ったなりにコンパクトで持続性のある町をつくり、町の魅力を高めて交流人口を増やしていけば、Uターン、Iターンの人口増も望める」と須田は考える。定住者を増やすには「生業」が必要だ。須田は、「大きな鉢植えを移植するような企業誘致ではなく、若い小さな芽にみんなで水をやって育てる『起業』誘致が、遠回りだが、町に根を張る」と思っている。
芽は出つつある。地元に伝わる「気仙大工」の技を使ったギター工房など、女川産の海藻を使ったせっけん工房など。いずれも30歳代。他にも起業を相談に来る若者もいる。商工業者も復興を若者に委ねた。震災直後の4月、がれきだらけの町に建てたプレハブの集会場に、町の商工業者約60人が集まった。町商工会長でかまぼこ製造「高政」社長の高橋正典(67)は宣言した。
「還暦を過ぎた者は一切口出ししない。若い者でやってみろ。頼まれれば金策もするし、盾にもなってやる」。会場から「そうだ」「いいこと言った」と、拍手が起きた。若い須田が町長になった流れは、そこから始まった。背中を押された須田は言う。「人は減っても活気を失ってはいない。町にはそれが一番大事なんだ」 (東野真和)

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