2月19日てんでんこ 計画運休「2」はずれ

朝日新聞2019年2月14日3面:空振りと見送り、2度の「三振」。難しい判断、それでも「定着する」 2連休の中日、見慣れない案内文がJR大阪駅構内のモニターに映し出された。「13日16時ごろから終日、全列車の運転を取りやめます」 台風19号が接近中の2014年10月12日午後1時10分、JR西日本は翌日の京阪神エリア全24路線の運休を初めて予告した。指令所に詰めていた広報担当の中野貴史(34)は普段と違う司令員の緊張感を覚えている。「社会的に影響が大きいだけに、どんな反応があるか不安だった」と振り返る。予告通り、13日午後4時半すぎに最後の列車が大阪駅を出発。無人になった改札口を駅員がアコーディオン式の門扉で閉鎖した。台風はその後、勢力を落としながら接近。暴風域に入ったのは1時間半後で、大阪府岸和田付近に上陸したのはさらに2時間後だった。結局、雨風が規制値を超えた路線は一部にとどまり、JRと並走する阪急と阪神はほぼ通常通りのダイヤで運行を続けた。
まさかの「空振り」。列車を止めた結果、48万人に影響した。大阪総合指令所長の江尻憲昭(63)は「苦情が多いだろうな」と頭を抱えた。しかし、利用者からの賛否は半々でNPO法人の調査では7割が「良かった」と評価。江尻の元にはダイヤが乱れた場合に対応に追われる駅員から感謝の声も届いた。江尻は計画運休には目安が必要だと考えた。950ヘクトパスカルより勢力が強く京阪神直撃の進路の場合、運休の前日夕までに予告する。そう決まった。
翌15年7月8日、社長の真鍋精志(65)は定例会見で計画運休について「必要性があれば実施したい」と述べた。運休を減らすため、路線の盛り土を補強する計画も発表した。真鍋は「災害は激甚化しており、計画運休は定着すると考えていた」と話す。会見の翌週、台風11号が近づいた。中国地方から日本海に抜けるコースで、勢力も目安には満たず、計画運休は見送った。だが、雨は降り続いた。所々で24時間雨量の規制値に達し、6本の列車が駅間で立ち往生。3100人が閉じ込められた。帰宅困難な3500人が駅で一夜を明かした。翌日も始発から再開できない事態が続き、前年の計画運休の約2倍の105万人に影響が出た。空振りと見送り。2度の「三振」は、JR西に判断の難しさを突きつけた。(波多野大介)

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