2月17日てんでんこ 首長たち「14」

朝日新聞2018年2月9日3面:「図面を描き直せ」。就任4年目、新町長は次世代のために指示した。 2011年9月、宮城県議だった須田善明(45)は女川町長の安住宜孝(72)を訪ね、涙ながらに禅譲を迫った。安住は「しばらく考えさせてくれ」と言ったが、別れる戸口で「がんばって」と須田に握手を求めた。
数日後、安住は4選を目指す意向を撤回して引退することを明らかにした。11月、須田は無投票で町長になった。当時39歳。3期目で自民党県連幹事長になり、将来は国政かとうわさされていた。亡父は女川町長だったが、「震災がなかったら、町長になろうとは思わなかった」と話す。東日本大震災で須田も自宅を流された。避難所や仮設住宅で同じ被災者と話すうち、自分の世代が復興の責任を持つべきだと思った。「子供から将来『おやじ、あのとき汗かいたのか。人任せにして文句ばかり言ってなかったか』と言われるのは嫌だ。一歩目から背負って、次世代に背中を見せたい」就任4日目、それを示す決断をした。
前日の午後、仮設庁舎の町長室で、まちづくりのコンサルタントから復興計画案の図面を見ながら説明を受けた。そうしても引っかかることがあった。町の中心部を形成する高台の候補地が、堀切山という里山で分断されていることだった。震災前は沿岸沿いに民家が連なり、一体感があった。高台移転するとどうしても集落ごとに分散するのだが、町の中心部までそうなるのは将来に禍根を残す。
須田は震災後、同世代の住民とも「この山切りたいなあ」と話していた。しかし岩盤が硬く、工事に時間がかかるのは確実だった。その夜、職員を集め、夜中まで話した。「前町長も悩んでいた」と聞いて決心した。翌朝、コンサルや関係者を集めて言った。「図面を描き直してください」「工事に10年かかるかもしれません」と言われたが、次世代を思って断行した。一方で、早く家を建てたい人や遅くても場所にこだわる人が選択できるように、町内の高台移転先12地区の宅地を、戸数と完成時期も示して一括で募集した。
堀切山を切るのは、予想通り難工事だったが、18年度内に終わる予定だ。4ヘクタールの高台には統廃合した小中学校も建設される。町の完成が近づいてきた。ただ、予想を超える事態も起きた。(東野真和)

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