2月16日 平成とは 消費税「9」

朝日新聞2019年2月8日夕刊12面:口止めされた「変人」 大蔵省の局長に紹介され、国の資金運用などを担う理財局の資金企画室長、高橋洋一(63)に会ったのは1995年秋だった。借金財政に危機感を強めた大蔵省が、消費税の税率上げを進め、財政の改革に乗り出していく時期だ。郵便貯金や特殊法人と絡んで全体像が分かりにくく「伏魔殿」と言われた財政投融資(財投)に高橋は切り込んでいた。法学部出身が多い大蔵官僚のなかで、理学部数学科を出た「変わり種」。積み上がった書類に囲まれ、まだウィンドウズ95の日本語版が発売されていない時期にパソコンを使いこなしていた。数学の知識を生かし、財投での資金運用リスクを管理するシステムをつくった。その成果をまとめた「財投リポート95」を記事にした私は「(運用の)利ざやは0.04%と銀行に比べて極めて低い」と紹介した。高橋は、大蔵省が改革を進める財投の問題点をあぶり出したが、その後は古巣と犬猿の仲になって退職する。国の財政についての考え方で、ことごとく対立した。国の資産規模から考えれば、日本の財政は先進国で最悪というほどの危機的状況ではない、今年の秋に控える消費税率10%への引き上げも「必要はない」と主張する。大蔵省が財政危機を宣言した95年当時は、どう考えていたのか。現在は嘉悦大学(東京)教授を務める高橋に聞いた。当時から国の資産と負債を示すバランスシートを独自につくって分析していたという。国と地方あわせた借金は400兆円余りあったが、国の資産から考えれば「危機とは言えないと考えていた」。予算編成を担当する主計局でそう説明したら「(主計局幹部らは)エッと驚き、『外では言うな』と口止めされた」と振り返る。高橋は自らを「変人」と認めつつ「組織人だ」と話す。役所にと都合の悪い資産結果は役所にいる間口外しなかったという。 =敬称略
(元朝日新聞編集委員・安井孝之)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る