2月15日てんでんこ 伝える「24」SNS

朝日新聞2019年2月8日3面:「私は」「この店は」。小さな主語で記す方が正確に伝わり、関心も持たれる。 熊本市の川野みま(41)は、「阿蘇西原新聞」を名乗って熊本地震からの復興情報を連日、ウェブ配信する。「3年越しで再建を果たした店もある。もうテレビも新聞も取り上げない。同じ被災者の私が伝えないと」ウェブの力を知ったのは、地震が招いた問題への反響だった。2016年4月16日未明、「ミサイルが落ちたような地鳴り」がして、熊本県西原村に建てたばかりの自宅が突き上げられた。夫は夜勤でいない。3ヵ月から7歳までの子ども3人を連れて避難した。
自宅前の道の路肩が120㍍にわたって崩れ、がけになった。私道なので公費では補修できないと村から言われた。専門家の見積もりでは5千万円はかかり、道を使う10軒では出せない。SNSで実情を発信すると、全国から助言が集まり、メディアも取り上げた。道路は県が急傾斜地対策として大半を直してくれることになった。「話題になったことで動いた」と川野は思っている。そんなころ、インターネットを通じて地域密着情報を発信するウェブ新聞「恵比寿新聞」の高橋賢次(43)と知り合った。「あなたもやってみないか」と背中を押され、ノウハウを聞き始めた。タウン誌記者をしていた経験が生き、精力的に発信し続けている。
その行動力を見込まれ、思わぬ展開も待っていた。昨夏、再出発が遅れている熊本県南阿蘇村の老舗旅館「青風荘・」に雇われたのだ。地震後の豪雨も重なり、旅館に続く道路が崩れて工事車両が入れない。やっと今春、日帰り入浴だけは再開できそうな段階だ。復興を伝えるだけでなく、当事者にもなった。社員は川野1人。広報以外にも設計や土産物の考案まで関わる。工事の段取りや資金など「一筋縄でいかない」と実感した。
おなかには4人目の子がいて、今月、出産する予定だ。旅館の仕事は産休に入ったが、阿蘇西原新聞や個人のSNS発信は続ける。ジャーナリストの堀潤(41)が提唱する「小さな主語」で伝えることに共感する。「『被災者は』と大きく一くくりにできないし説得力もない。『私は』『この店は』と記す方が正確に伝わり関心も持たれる」住宅再建時のローン減免制度を広めようと熊本市に自宅を建てた時の苦労話を発信した。制度の適用範囲拡大にもつなげた。それが自分の役割だと川野は思う。(東野真和)

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