2月14日てんでんこ 首長たち「11」

朝日新聞2018年2月6日3面:「まったく新しい街をつくる」。街の復興をめざす計画に壁が立ちはだかる。 壊滅的な被害を受けた街をどう復興するか。2011年12月、岩手県陸前高田市長の戸羽太(53)は復興計画を示した。山を削った高台に宅地を造成し、低地部はかさ上げして中心市街地をつくる。総事業面積は東京ドーム64個が入る約300ヘクタールに達し、総額約1200億円を投じる。被災地で最大規模の土地区画整理事業の原型だった。
「修理ではなく、まったく新しい街をつくる」。戸羽はこの復興計画に、東日本大震災前の同市の人口2万4千人を上回る2万5千人という目標人口を盛り込んだ。強気の目標は実現の可能性は薄かった。「みんなしょんぼりして泣いている状況で、実現的な1万7千人としても頑張ろうという気が起きない。みんなを励ます数字だった」。実際の実施計画は住民への意向調査に基づき、身の丈に合った数字に変えていった。それでも計画の実現には、いくつかの壁が立ちはだかった。
区画整理事業は地権者に仮の土地を割りあてる「仮換地」の後で工事に入るが、その前でも地権者の承諾を得れば工事ができる。地権者は約220人。北海道から長崎県の五島列島まで担当者が足を運んだが、地権者にたどり着けなかったり承諾を得られなかったりするケースもあった。戸羽は、大多数の地権者の承諾を前提に、残りの地権者の承諾なしでも工事ができるよう国土交通省に手続きの簡素化を何度も迫った。だが、財産権を侵害するおそれがあるとして、国は首を縦に振らなかった。戸羽は旧知の国会議員を訪ね、議員立法を働きかけた。素案はがまとまりかけた14年1月、国は通知を出し、事実上、地権者の承諾なしで工事に着手できるようになった。
しかし、工事に入るタイミングの判断は自治体にゆだねられた。結局、着工前に可能な限り承諾を得ようと地権者全員を訪ねることになり、迅速化にはつながらなかった。ほかにも災害公営住宅の1階に店舗が入れるよう要望したが、なかなか認められなかった。既存の制度を柔軟に変えられないつけは、街の再生の遅れとなって表れた。(渡辺洋介)

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