2月14日てんでんこ 伝える「23」都心

朝日新聞2019年2月7日3面:「恵比寿新聞」を1人で書く元家出少年。人のつながりを作るため、奔走する。 2011年3月、東日本大震災が発生した直後の夜。東京・恵比寿の酒場で隣のテーブルから会話が聞こえた。「もし地震で家の下敷きになった人がいらたどうする」「知り合いなら助けるけど、でなければ逃げる」恵比寿の話題をインターネットで流すウェブ新聞「恵比寿新聞」を1人で書く高橋賢次(43)は驚いた。地方では、お年寄りがどこの家にいて、普段はどこで寝ているかまで知って助けに行くと聞いたことがあった。「都会こそ、人のつながりが大事だ」と思った。それが、今年で10周年を迎えた恵比寿新聞の根底を流れる考えでもある。奈良県出身。15歳で家出し、高知県でDJになり、18歳で東京へ来たが、生活が乱れて無職に。後に妻となる彩(46)に「経済力のない人とはつきあえない」と言われ、IT企業に就職。ウェブ広告をあっせんする仕事をして収入は安定した。しかし、載せたくもない広告を載せるのがストレスで辞めた。 彩を追って、彩の実家がある恵比寿に引っ越した。花屋、肉屋、定食屋・・。「漫画に出てくるような強烈な個性を持った人」が親しげに話しかけてくれた。「この人たちを紹介したい」と遊び心で始めたのが恵比寿新聞だった。今では2万5千人の読者を持ち、老舗焼き鳥店の誕生秘話から不審者の出没まで、様々な地域密着情報を届ける。09年に始めてから2年後、バーのマスターが「大口の予約が2日前にキャンセルされた」と途方にくれていた。恵比寿新聞でパーティーを呼びかけると100人集まった。広告も取らず無料配信なので生活に困っていたが、以来、イベント業が収入源になった。
新聞以外でも人とつながる。たばこの吸い殻だらけで風紀が乱れた横丁を問題視する記事を書く一方、管理者らとも交渉する。清掃活動が始まり、目を光らせる住民も現れた。近所の子らが一緒に食事をして地域交流の場にする「じもと食堂」には社屋を提供する。いま特に力を入れているのは、ビルの屋上や空き地での農園作りだ。「人の輪を作るし、災害時の食料にもなる。東京五輪までに2020人の都市農家を作りたい」 高橋の活動に共鳴し、地域密着のウェブしんぶんが首都圏を中心に全国16ヵ所で立ち上がっている。その一つは熊本地震の被災地にできた。(東野真和)

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