2月14日 平成とは 消費税「7」

朝日新聞2019年2月6日夕刊6面:「責任政党」の判断 消費税の増税を自民党が公約にしたら朝日新聞はどう書く? 衆院選が迫る1996年9月、幹事長の加藤紘一にそう聞かれたが、私は新聞社を代表しているわけではない。戸惑いながらも、「3%据え置きは選挙目当てだと社説は批判している。5%への引き上げはダメだとは書けないと思いますよ」と答えた。
電話の向こうから満足そうな加藤の雰囲気が伝わってきた。こちらから「特別減税はどうするんですか」と問うた。「(政調会長の)山崎拓さんがやめると言うんだよ。打ち切ります」驚いた。特別減税は、消費増税に先行し、勤め人への軽減措置として実施されていた。増税と減税打ち切りならダブルパンチだ。私は、特別減税は継続するのではないかとみていたのだ。加藤は言った。「国民は財政が厳しことはよくわかっている。票目当ての減税というのでは支持されない」。正論であった。自民党は消費税率据え置きを訴えた野党を「無責任だ」と批判して増税を掲げ、10月の衆院選にのぞんだ。単独過半数には届かなかったが議席を増やした。自民党は国民に痛みも求める「責任政党」として踏みとどまった。
97年4月、消費税率は5%になった。景気は前年から回復基調だったが、増税前の「駆け込み需要」の反動で消費が冷えた。秋からは不良債権を抱えた銀行や大手証券が相次ぎ破綻する金融危機が起き、日本経済は暗転した。増税と特別減税の打ち切りだけで国民負担は年約7兆円増え、景気回復の歩みには重荷になった。当時の大蔵官僚や一部の学者は「景気失速は金融危機が主な原因」と説明し、消費増税の影響は小さいと主張した。だが、加藤は後に「不良債権問題の深刻さを大蔵省も私たちも知らなかった」と、あの時の判断を悔やんだ。私も、あの時の判断は結果的に失政だったと思う。 =敬称略 (元朝日新聞編集委員・安井孝之)

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