2月11日 平成とは 消費税「5」

朝日新聞2019年2月4日夕刊6面:協力頼まれ「無理だ」 ライフストア会長の清水信次(92)は。消費税を導入した首相の竹下登が衆議院に初当選したころからの付き合いだったが、消費税反対の立場をとり続けた。竹下とどう向き合ったのか、あらためて聞いた。自民党幹事長だった竹下から「会いたい」と電話が入ったのは1987年10月19日ごろだったという。首相の中曽根康弘が竹下、安倍晋太郎、宮沢喜一の3人から竹下を後継に指名した直後だ。「大幹事長に事務所に来てもらうわけにはいかない」と出向た清水に竹下は言った。「実は中曽根さんに後継指名され、『売上税』を入れてくれと頼まれた。1年で決めたい。協力してほしい」
清水は国の財政に一定の理解はあったものの断った。「国民への丁寧な説明は1年では無理だ」竹下は激しい反対運動に直面する。それでも約1年後の88年12月、国会での強行採決で消費税の導入が決まった。清水を「スタンドプレーばかりで困る」と揶揄する人も経済界には多かったが、私はそうではないと思っていた。消費税導入から半年たった89年9月末、テレビ朝日の討論番組「朝まで生テレビ」が消費税を取り上げた。9月中旬に脳梗塞をおこして入院したばかりの清水は、主治医の反対を押し切ってスタジオに入り、反対論をぶった。取材に行った私が放送開始前に「大丈夫ですか」と声をかけると、「田原(総一朗)さんに出るって約束したからなあ」と笑った。いつもの力強さはなかった。大げさではなく、「命がけだ」と思った。
清水は竹下らが監修した「消費税制度成立の沿革」を大事にしている。裏表紙を開くと竹下が「時に意見を異にすることもありましたがお互いの人間関係は永遠のものでした。生涯の心の友として感無量です」と記している。政権与党べったりの今の経済界と政治の関係とはずいぶん違う。 =敬称略 (元朝日新聞編集委員・安井孝之)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る