2月10日 教えて! 税制改正⑥

朝日新聞2018年2月1日5面:森林環境税 二重取りの可能性もあるの? 狙い手の高齢化や地方の人口減などで荒廃が進む森林が増えている。そこで、放置された人工林を市町村が集約して保全する事業が2019年度から始まる。その財源を賄うとして18年度の税制改正で導入が決まったのが、「森林環境税」という新税だ。
全国で約6千万人が納めている住民税に年1千円を上乗せして微収する。年約600億円の税収を見込み、国が森林面積や人口などに応じて市町村と都道府県に配る仕組みだ。納税者の負担感を和らげようと、導入時期は、現在住民税に年1千円を上乗せしている復興特別税の終了後の24年度からとし、それまでは国が立て替えることにした。このお金を使い、市町村は放置された人工林を集約し、意欲のある林業経営者に管理を委託したり、委託先が見つからない場合は自ら間伐したりする。「森林バンク」制度を始める。そのために必要な作業場の整備や機械の導入、人材育成にも充てられるという。
なぜ、森林がない都市部の納税者も新税を負担するのか。森林を適切に管理すれば、温室効果ガスの削減や水源維持につながり、土崩れを防ぐ保水機能も高まる。こうした恩恵は都心部の人も受けるからだ、と政府は説明する。しかし、同じような目的の税金は37府県と横浜市がすでに独自に導入しており、「二重取り」になる可能性もある。現在、住民税に年300~1200円を独自に上乗せする形で微収しており、こうした自治体の納税者は、二重の税負担になりかねない。
たとえば山梨県は現在、名前も同じ「森林環境税」として、年500円を独自に課税している。税収の8割を森林の間伐や作業道の整備に充てるなど、国の新税と使い道も重なる。県の担当者は「国の新税とすみ分けるため、使途の見直しも含めて検討する」という。
横浜市の場合、いまでも市の「横浜みどり税」(年900円)と神奈川県の「水源環境保全税」(年300円、所得に応じて加算)を負担しており、国の新税が加われば、「三重負担」になる。政府は今後、使い道が重ならないようにするなど、自治体との調整を進めるが、自治体がすんなり応じるかは不透明だ。
新税には、税収を使い切ろうと無駄遣いにつながるとの懸念もある。自民党内にはすでに、都市部の公共施設への木材利用に使う案が浮上する。使い道が際限なく広がりかねない状況だ。(長崎潤一郎)

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