2月1日 見張り塔から メディアの今

東京新聞2018年1月23日4面:ジャーナリスト・津田大介さん フェイクニュース対策 欧州で活発化 問われる事業者の成熟 ネット上を飛び回るフェイクニュース対策が欧州で活発化している。ドイツで2017年6月末に可決された「ソーシャルメディアにおける法執行を改善するための法律」(ネット執行法)が18年から施行された。フェイスブックやツイッター、ユーチューブなどのプラットフォーム事業者を対象としており、今後はヘイトスピーチやフェイクニュースなど、「明らかに違法な」投稿を24時間以内に削除しないプラットフォーム事業者は、最大5千万ユーロ(約68億円)の罰金を科せられる可能性がある。
自らの大統領選挙でフェイクニュースの標的になったフランスのマクロン大統領は、1月3日、新年の記者会見で2018年内にメディア法を改正する方針を示した。ドイツのネット執行法を意識したものだろうが、こちらはネットの透明性に注目し、広告主とフェイクニュースの関連に踏み込んでいる。広告規制をすることで金もうけ目当てで乱立するフェイクニュース発信サイトを抑え込むことを目指しているかもしれない。
歪んだコンテンツを発信することでアクセスを集め、広告収入を稼ぐことの問題はフェイクニュースにとどまらない。年末年始、米国の人気ユーチューバー、ローガン・ポール氏が自らのチャンネルで日本の青木ヶ原樹海で首をつった自殺遺体を発見し、それを面白おかしく伝えたことが議論を巻き起こした。
ユーチューブは1月9日に声明を発表。「自殺はジョークではなく、再生回数稼ぎのために利用されるべきものでもない」とポール氏の動画を非難し、再発防止策を講じることを約束した。さらに、ポール氏のチャンネルがユーチューブのガイドラインに違反していたことを認め、人気チャンネル向けの広告プログラムから除外、ポール氏が出演予定だったユーチューブ独自コンテンツの制作中断を決定した。
しかし、このユーチューブの対応に対しても「ペナルティーが甘い」「対応が遅すぎ」といった厳しい批判が寄せられた。この件に限らず、ユーチューブは世界的なメディアプラットフォームとして、不適切なコンテンツをどう扱うべきかという難題を突きつけられている。
昨年3月には人種差別やイスラム過激派を支持する動画に大企業の広告が掲載されていたことが発覚。さらに11月には、未成年者が出演する動画にわいせつなコメントが投稿されていたり、ファミリー向けをうたう「ユーチューブ・キッズ」に子ども向けを装った暴力的、性的なコンテンツが紛れ込んでいたなどの問題も浮上していた。いずれも複数の大企業が広告を引き揚げたことで、ユーチューブは緊急の対策を迫られることとなった。また、中長期的な取り組みとして、不適切な動画の検出を効率化するための機械学習システムの強化や、人間の監視員を今年中に1万人規模に増員することを決めた。
ネット上の多くの問題は支配的なプラットフォーム事業者のサービス上で起きている。今年はそれらの事業者がメディアとして成熟できるのかが問われる年になりそうだ。

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

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