19日 オトナになった女子たちへ 伊藤理佐

朝日新聞2017年7月14日29面:鰻、全力応援! 我が家では「鰻」を応援している。「がんばれ!」と思っている。たぶん応援している家が多いと思う。ヨシダサシンと話し合った結果、うちは「安い鰻を食べない」という応援の仕方になった。「鰻屋さん」も応援することにした。「高いけど、たまに、鰻を、鰻屋さんで食べる」という方針だ。出前でも応援する。家族で風邪をひいた時など、ただちに応援だ。
ある日、ムスメが学校中の昼に、ヨシダサンと鰻を応援することになった。不定期に店を開ける鰻屋さん(赤い長い暖簾)をのぞくことにした。もうひとつの鰻屋さん(青い短い暖簾)が、今日開店していることをネットで確認してのチェレンジだ。つまり、今日は絶対「鰻」を、応援する気だ。なんか、いつもより真面目に歩いている。おお、赤い暖簾がはためいていた。入るぞ!うん!と、なぜか、コソコソと、赤い暖簾を割った。
後日。「こないだ、鰻、食べたぞでしょ!」わあっ。幼稚園の時のママ友が「おーい」と自転車で通りかかった。久しぶり~と言いながら、「配達で、パパ(ダンナサン)と、軽トラに乗ってたんだヨ~」 花屋のお嫁さんなのだ。
「横断歩道でとまったらさ」私たちが、車の横を歩いていたという。窓を開けて声をかけようと思ったら・・・。「ん? この鰻屋さんに入るのかな。なんちゃって」 「ここ高いって有名じゃん。まさか」 「あっ・・・」「は、入る・・・」 入った~! って車の中で盛り上がったという。
「すごい至近距離で、知り合いが鰻屋さんに入っていくのって、なんかコッ恥ずかしね~」
ヒーー! コッ恥ずかしいのはコッチです。暖簾を割っている自分たちを回想した。応援のため、真面目な目をしている。しかし、これから「鰻を食べる」という喜びで口が少し笑っている。ビールも飲もうとしている。だからなんとなくコソコソしている。このように鰻を応援するのは難しい。がんばりたい。(漫画家)

 

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る