16日 カードローン評価に反映

朝日新聞2017年7月12日6面:大手銀や地銀 過剰融資の恐れ 無担保で個人に多額のお金を貸すカードローンでの融資拡大を、多くの銀行が支店や行員の評価対象にしていることが、朝日新聞の調査でわかった。調査対象の半分近くの29行が「(評価対象に)含まれている」と答えた。貸付額が消費者金融を上回り、規制強化を求める声が出ている中、銀行が融資拡大に前のめりな状況が浮き彫りになった。
調査は、カードローンを扱う大手銀行5行と全国地方銀行協会に加盟する64行の計69行に6月中旬に書面で行い、50行が回答(1行は一部のみ回答)した。カードローンの口座数や融資額の増加を支店や個人の評価対象としている、としたのは、回答した49行の6割の29行だった。評価対象を答えた銀行では、17行が支店を対象にしているとし、5行は支店と個人の両方が対象だとした。「ノルマ」として営業現場に目標が課されている銀行もあるとみられる。
銀行全体の経営計画でカードローンの融資や口座の数値目標を「設けている」としたのは、回答した50行のうち6割の29行だった。過剰融資への批判もあり、一部の銀行は「目標の水準を見直した」と答えたが、「無理のない範囲で推進し、見直しはしない」との意見もあった。カードローンの貸付残高は2016年度末で5.6兆円で、消費者金融の4.1兆円を大きく上回る。三菱UFJ銀行が主力商品の融資残高を、18年3月末までの3年間で、1.5倍の4800億円に増やす計画を立てるなど、低金利下で高利が取れる分野と位置づけている。多重債務への懸念から、日本弁護士連合会は、貸付額の上限がある消費者金融並みの規制を求めているが、全国銀行協会は慎重な姿勢を崩していない。
事実上「ノルマ」の現場も カードローンの契約獲得目標が、事実上の「ノルマ」となって営業活動をしている現場もある。業界は規制強化に反対しているが、過剰な貸し付けにつながりかねない。東海地方の地方銀行のある支店では、半年ごとの期末が近づくと、上司が営業担当者に発破をかける。「点数を稼げるのはカードローンだけ。がんばって新規契約を獲得してくれ」この地銀では、支店としての営業目標が点数で設定される。企業向け融資を大きく伸ばすのは難しく、目標達成にはカードローンの契約増が近道だという。法人営業の担当者が取引先にカードローンを勧めることもあるといい、行員は「業務目標はノルマも同然だ」と話す。
目標が「ノルマ」となり、達成次第で賞与や人事異動にも影響を与えかねないーそんな状況が常態化すれば、過剰な貸し付けにもつながる。全国銀行協会は3月、行き過ぎた広告は抑制し、年収を確認するよう各行に求めたが、実効性があるかは不透明だ。消費者金融は「貸付額は年収の3分の1まで」という総量規制があるが、銀行は対象外で、貸付残高を大きく伸ばしてきた。
日本弁護士連合会などは、かつての消費者金融のような多重債務問題につながるとして規制強化を求めているが、全銀協の平野信行会長(三菱UFJフィナンシャル・グループ<FG>社長)は6月の記者会見で、年収の3分の1超の貸し付けは「ニーズがある」と反対姿勢を示した。
麻生太郎金融担当相は5月の参院財政金融委員会で、「顧客の目線に立ったビジネスをちゃんとやってもらわないと」としたうえで、当面は自主的な取り組みに任せる姿勢を示している。しかし、一部の銀行が「ノルマ」を課し、利益を追求する姿勢を続けている。銀行経営に詳しいマネックス証券の大槻奈那チーフアナリストは「消費者のためになる借金でないなら『顧客目線』とは言えず、高金利のカードローンで数値目標を設けるのはそぐわない」と指摘する。
(藤田知也、河合達郎)

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