13日 問う「共謀罪」施行に思う

朝日新聞2017年7月9日34面:「おかしい」と言い続けチェックしよう 首都大学東京教授 木村草太さん(36)「ここはおかしい」と言い続け、使われ方のチェックを。 改正組織犯罪処罰法には二つの問題がある。テロ対策や国際組織犯罪防止条約の締結という目的自体は納得できるが、目的を達成するための手段としては適切さを欠いた。テロを準備行為から処罰できる法律はすでにあるし、条約締結のために「共謀罪」の立法は必ずしも必要ではないと言われていた。
あいまいな計画や危険性が極めて低い準備行為まで処罰の対象となりかねないのも問題だ。憲法は「刑罰を科すに値する法益侵害がない限り、刑罰を科してはならない」と求めていると解釈されている。法律の条文通り適用すれば、違憲となるケースが相次ぐだろう。
これだけ世論が高まった問題。「ここだけはおかしい」と主張を積み重ね、修正を求める姿勢が大事になる。例えば、傷害罪などでもないとされてきた犯罪が未遂よりさらに前段階で適用対象となった点。不平等な適用や恣意的な運用が増える恐れがあり、修正を検討する上で、対象犯罪の絞り込みは欠かせない。
処罰対象となる組織的犯罪集団の定義も工夫できないか。例えば指定暴力団のように、あらかじめ組織的犯罪集団として指定したものだけを処罰対象とすれば、一般人は対象外となる。
適正な捜査をどう確保するかも重要だ。共謀罪は他の犯罪に比べ、物証が乏しい分、供述に頼らざるを得なくなる。徹底した取り調べの可視化や弁護人の立ち会いを実現してもらいたい。目的が正しいのに、手段として不適切な法律への向き合い方として、政府の言い分を真に受け取るやり方が有効なこともある。「テロ対策のため、と説明しているのだから、関係のない事例には適用しちゃだめでしょ」という言い方だ。
過度に広範な規制なだけに、裁判所も「極めて具体的な計画で、危険性も明白」などの事例に限って、法律を適用していくだろう。法律を限定的に解釈するよう裁判所に求め、市民として監視していくことが重要だ。(聞き手・山本亮介)
「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織的犯罪処罰法が11日に施行される。犯罪を計画段階で処罰し、日本の刑事司法の大きな転換となる。施行に際し、改めて識者に考えを聞いた。

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