12月8日 教えて! NHK受信料「7」

朝日新聞2017年12月2日7面:「ネット受信料」はどうなるの? 今春、NHKの男性職員は都内の家電量販店に行って驚いた。一人暮らしを始める娘に、セット売りで家電一式をそろえてやるつもりだった。その「5点セット」にテレビが含まれていないのだ。店員は「見ない若い人が多いですから」。テレビは別途、単独で買わざるを得なかった。テレビ離れもここまで来たのかー。「三種の神器」と呼ばれた時代を知る職員は、心の中で嘆いた。
NHK放送研究所が5年ごとに行う調査で、2015年は20代の16%がテレビを「ほとんど、まったく見ない」と答えた。全体の視聴時間も1985年の調査開始以来、初めて減少傾向に転じた。10年代初頭から、スマートフォンや無線LANが普及。ネットの動画が簡単に見られる環境が整ったことが大きな要因とみられる。15年位は、NETFLIXやAmazonプライムビデオなど海外発の動画配信大手が日本でサービスを始めるなど、ネットがテレビを脅かす存在になった。
危機感を持つテレビ業界はネットでも番組を見てもらおうと約10年前から模索を続けてきた。特にNHKは「放送と通信の融合は待ったなしの課題」(石原進経営委員長)として、番組が「いつでも、どこでも」見られる同時配信の検討に注力する。視聴者が減れば受信料支払いへの理解が得にくくなる上、支払い世帯も近い将来に減少するとみられているからだ。
NHKは昨年12月、20年東京五輪・パラリンピック前年の開始と、ネットで視聴する人からも費用負担を求めるのが適当だとする考えを表明。上田良一会長が今年設置した諮問機関「受信料制度等検討委員会」も、NHK側の考えをなぞる形で、受信料と同程度の費用負担を求めることが妥当だとして「ネット受信料」を提案した。この案が出るや、議論は暗礁に乗り上げる。年々収入を伸ばすNHKのさらなる一人勝ちを危惧する民放側から猛反発が起こった。
商業放送としてネットから収益が得られるか不透明ななか、NHKだけが受信料という「印籠」でカネをもうけようとしている。そんな受け止め方が広がった。NHKは方針転換を迫られる。9月、同時配信は受信料を支払う世帯への付加サービスとして始めると明言した。「テレビ離れ」した人々からネット受信料を得て新たな視聴形態で見てもらうー。そんな未来は先送りとなった。
NHKが同時配信に本格的に乗り出すと表明したのは7年前。当時の会長が設置した諮問機関も、ネットでの視聴者から受信料を微収する仕組みを提言していた。そして今なお、結論は出ていない。「テレビ離れは想像を超えて加速しているのに、ネット受信料は泥沼にはまったように、堂々巡りを続けている」とNHK幹部は言う。「議論の始めてから、会長だけは4人目になったんだけどな」と苦笑いした。(小峰健二)

 

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