12月8日 パラダイス文書

朝日新聞2017年12月1日13面:第1部影の案内人⑥ コンプラ違反の境界で 2014年7月22日朝。法律事務所「アップルビー」の社員2人に、一文だけのメールが送られた。「なぜこの件を事前に私に知らせなかったんだ」怒りのこもった内容に、返信はない。6時間後にもう一通。「これはものすごく重大だ。ブラッド・ダイヤモンド(血のダイヤ)が絡んでいる」血のダイヤ。アフリカの紛争地で闇取引されたダイヤのことだ。
2通のメールを送ったのはアップルビーのコンプライアンス(法令・社会規範の順守)部長のロバート・ウッズ氏だった。怒りの理由はこうだ。
13年、ベルギーのダイヤ会社がアフリカのビジネスで得た利益を隠していたとして、税務当局に1.6億ユーロ(204億円)を支払ったと報じられていた。翌14年、アップルビーの担当者はこのニュースを知りながら、ダイヤ会社からの依頼で、新たな信託会社をケイマン諸島に設立していた。汚れた資金をタックスヘイブン(租税回避地)に隠したー。そう受け取られかねない行為だった。ウッズ氏のメールでの指摘から10日後。長時間の会議が開かれた。だが出た決論は、「リスクの高い顧客だが、全体的にはいいビジネスだ」。優先されるのは、倫理より利益だ。
パラダイス文書の報道に「不正はない」と反論したアップルビー。だが、流出した内部文書からは、常にコンプライアンス違反の境界線で揺れる姿が見える。内外の監査で、毎年のように法令上の問題点が指摘されている。顧客の半数についてその資金源をアップルビーが把握していないという調査もあった。
11年に社内で開かれていた、コンプライアンス研修。「罰則」と題したスライドには、牢屋に入れられた人物の絵。「懲役20年」「財産差し押さえ」との脅し文句も並び、法令順守の大切さが改めて説かれた。別の社内文書には、こんなコメントもあった。「我々が法令順守でタックスヘイブンのトップだと認められるには、まだまだ膨大な努力が求められる」

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る