12月7日 オトナになった女子たちへ 伊藤理佐

朝日新聞2017年12月1日31面:そんな年になったか 「今、家にいますか?」ブルッと、ラインがきた。飲み会などの集まりで一緒に遊んでいただくオネエサマからだ。「玄関先で帰るのでちょっと寄らせてもらってもいいですか?」 だって。ん?もう夕方だ。漫画描いてたペンを置いて イマス~と、返信すると「息子も一緒です。ホントすぐに帰りますので」 と、きた。マッテマス~と、返信しながら、(何かあった??)と。なる。そういうふうに家に人が来ることがあまりないのだ。息子さんは、R君。来年、成人式。小学生の頃から知っている。
「R君、来るってよ」と、伝えに行く。ヨシダサンを通じた知り合いなのだ。じ、実は・・R君は、初恋がわたしなのだ(申し訳ない・・)。わたしが結婚してちょっと振られた気分だったんだけど、子供産んで太ったわたしを見て、心の底からの「さようなら」を言えた、というネタをもっているR君。もう身長が180cmを超えちゃって、見下ろされる感じの遠い昔だ。
「この人が初恋じゃ、かわいそうだな」と、ボサボサの髪をなおす。ピンポーン。すぐ来た。玄関先に、おめかししたオネエサマと、R君がひょろ長く立っていた。低い声で「挨拶にきました」へ? よく見るとスーツにネクタイ。着なれていない。ど、どうした・どうした!? 「今日、ハタチになりました」
だって。キョウ!? 「毎年、お年玉ありがとうございます」 だって。さっき、じーちゃんばーちゃんとお祝いの食事会してて、帰り道にうちに寄ることを思いついたんだって。ヨシダサンが廊下で半コケしているけど、ビックリして靴下ですべったんだって。二人はすぐに帰って行った。わたしは驚いていた。なにに?
「お年玉あげていたよそのお子さんに、ハタチんも誕生日にスーツで挨拶にこられる、そんな年になったのか、俺たち!」
に、かな? とヨシダサンが言った。それだった。うなった。その夜、ハタチと「それ」に乾杯した。(漫画家)

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