12月6日 オトナになった女子たちへ 伊藤理佐

朝日新聞2018年11月30日29面:干し柿といえば「母!」 「・・干し柿」と、連想ゲームでキャプテンの加藤芳郎が上目づかいでヒントを出したら、白組のヨシダサンは「母」と答えて、紅組のキャプテン中田喜子がもう1回、「干し 柿」と、言ったら、わたしも同じく「母!」と答えるだろうなあ。と、いうくらい、岩手(ヨシダサン)、長野(わたし)の、両親の干し柿好きが、すさまじいのである。秋、冬の岩手の母は、柿をもいでいるか、剥いているか、干してるか、あるいは、いじっている、見ている、すすめている、ほめている、熟成させている、食べている、かの、どれかだ。わたしたちのおみやげに用に袋に干し柿を「ねじこんでいる」もある。
「柿」について動詞がありすぎるよ、お母さん! と、思う。柿行事もある。その年の選りすぐりのでっかい柿を、焼酎と冷蔵庫で完熟させ、トロトロのグシュグシュになったのをスプーンで食べるという「祭り」である。お母さん、ハイテンション。完熟ぶりを見せてくれる。食べたいと言えば、ふるまってくれる。自慢の宝石を見せてくれるようになノリだ。「お、大きいでしょう~」
なぜか少し恥ずかしそうにする。宇宙のどこかの動物番組で人間、母を取り上げたら、「こ、こんなに柿のことを・・」と、お茶間の間の宇宙人、ハ~ッて、なる。長野の母の悩みを聞くと、これだ。「お母さんさ、我慢できずに干しているの途中で食べるでしょう?」そ、そうなの? 「近所の人に、また食べてる、って思われていないか・・」心配なの、だそうだ。見つからないようにすばやくとるようにしているんだよね、という。母は干し柿に青シソをはさんで食べるのが好きだ。これ、わたしも好きだけど、母は、おせちに出すくらい好きだ。とびきりのごちそうだと思っている。これも宇宙のどこかの動物番組だったら、「シ、シソ?!」と、お茶の間の宇宙人の箸、とまる。母ふたりの干し柿好きを肴に、今日も一杯、やっている。おいしい。(漫画家)

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