12月5日てんでんこ ブラックアウト「15」旭山動物園

朝日新聞2018年11月30日3面:「一つでもおお思い出を」。電気の回復後、開園に向けて職員が駆け回った。 ゴマアザラシは、水の中をスイスイ泳いでいた。出産を控えたアミメキリンは、飼育舎の中をのんびり歩いていた。観光客に人気の北海道旭川市の旭山動物園。道内はほぼ全域の停電に見舞われた9月6日も、動物たちにとってはのどかな日常が続いていた。ただ、観光客の歓声がなかった。旭川の震度は4。施設に被害はなく、園長の坂東元(57)は停電の長期化に備えた。水道は出ていたが、市の浄水場の停電が夕方まで続けば、断水する。水の入れ替え用プールに約200㌧ためた。水槽の濾過器なんかなかった。動物は大丈夫」と心配しなかった。
餌の肉や魚は、冷凍庫に3~4㌧保管していた。扉の開閉をしなければ、1日半は持つ。市内の食品業者が受け入れれを快諾してくれた。「うちも停電しているが、大型なので数日は冷凍を保てる」。停電が翌朝まで続いたら、運び出す手はずを整えた。一方で、職員には伝えていた。「電気が来たら、2時間で開園するぞ」。旅先でつらい思いをしている人たちがいる。「何か一つでも、いい思い出を持ち帰ってもらいたい」
ただ、昼を過ぎても停電は解消しなかった。午後1時、終日閉園を決めた。翌朝。6時ごろに電気が回復すると、職員は濾過器を動かし、電気柵や自動ドアの点検に走った。JRはまだ不通。市内の一部信号がつかず、駅から動物園まで約40分の路線バスも、止まったまま。「来ても数百人かな」午前9時半の定時に開園した。タクシーに相乗りして来たという人たちがいた。外国の団体客も到着した。坂東は次々、声を掛けられた。「動物園がやっていて、よかった」。この日の来園者は約2千人だった。
発生からの2カ月、団体のキャンセルなどで入園者は前年比8割程度にとどまり、「客足は完全に回復していない」と同園。北海道全体でも観光には大きな打撃となった。ブラックアウトが真冬に起きていたら、大変な事態が起きただろうと坂東は思っている。停電でも3日間は自前で維持できる態勢を検討中だ。「ここな命を預かる場所。次は『想定外』ではすます」 (本田大次郎)

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