12月4日てんでんこ 皇室と震災Ⅲ【17】

朝日新聞2017年11月29日3面:特産の貝を使った特製カレーを昼食に。両陛下の側近はレシピを持ち帰った。 天皇、皇后両陛下は2006年3月7日、東京都の三宅島を始めて訪れた。噴火による全島避難からの帰島が始まって1年がたっていたが、戻れたのは噴火前の3分の2ほどの島民にとどまっていた。
当時、皇后さまは前年秋から時折めまいの症状があり、万全の体調とは言えなかった。島は火山ガスの噴出が続き、数値が高い場合に備えてガスマスクも用意されていた。両陛下はヘリコプターで三宅島を訪れ、当時の平野祐康村長から現状を聞いた後、地元関係者との昼食会に臨んだ。提供されたのは、島で昔から食卓にあがってきた島あさりを使った特製カレーだった。島あさりは、全国で食べられているあさりではなく、島でとれるカサガイ類だ。食器やガラスなどの素材には、雄山の火山灰が使われていた。島に打撃を与えた火山灰をあえて使い、復興を目指す。島民のたくましさの現れだった。
昼食会場を後にする際、両陛下は調理を担当した地元のペンション「サントモ」の沖山厚子さん(55)に歩み寄り、「避難生活は大変でしたね」と声をかけた。沖山さんは両陛下の側近から島あさりカレーのレシピをリクエストされ、提供した。それから5年半ほどたった11年8月。両陛下は都内で映画「ロック~わんこの島~」を鑑賞した。三宅島で民宿を営む沖山勝彦さん(42)一家と愛犬ロックが噴火の被災に負けずに生活する実話をもとにした内容で、島でロケが行われた。生まれて間もない時に沖山さん宅に引き取らてたロック。噴火時には4年半にわたり避難生活を経験した。
帰島後は沖山さんとともに宿泊客を送迎したり、自由に島内を歩いたりして愛された。沖山さんの妻有紀さん(43)がフジレテビの番組の人気コーナー「きょうのわんこ」に応募し、採用されたのを機に映画化された。映画は東日本大震災直後の11年6月、宮城県石巻市などで先行上映された。「三宅島の人たちも頑張ったのだから、私たちも頑張らなきゃ」。そう感謝されたという。
監督の中江功(なかえいさむ)さん(54)は仙台出身。「島の人たちは忘れられることが一番悲しいと話していた。風化させないために、リアルに記録することに意味があると思った」。両陛下は鑑賞後、「とてもよい映画を見せてもらいました」と話したという。(島康彦)

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