12月4日 防衛業界戸惑い、反発

東京新聞2018年11月29日1面:防衛省支払い延期要請 米兵器ローン急増 来年度予算圧迫 異例、装備62社に最大4年 防衛省が今月初め、国内の防衛関連企業62社に対し、2019年度に納品を受ける防衛装備品代金の支払いを2~4年延期してほしいと要請したことが関係者への取材で分かった。高額な米国製兵器の輸入拡大で「後年度負担」と呼ばれる兵器ローンの支払いが急増。編成中の19年度予算の概算要求では、要求基準を事実上2千億円超過しており、国内企業に「返済猶予」を求めるという異例の事態となっている。(「税を追う」取材班)
要請を受けた企業は「資金繰りに影響が出る」などと反発。企業側の同意がなければ支払いの先送りはできず、年末の19年度予算案の作成までに、どれだけ削減できるかは不透明だ。複数の関係者によると、防衛省は今月2日と5日の2回に分け、航空機や艦船の部品を扱う企業などを同省に呼んで説明会を開催。19年度に納品予定の部品の契約を変更して追加の発注を行う代わりに、代金の支払いは追加分が納入される21~23年度に一括して行うと提案した。今後、個別に各社と交渉したい考えを示したという。
輸送機オスプレイや早期警戒機E2Dなど、安倍政権になってから米国政府の「対外有償軍事援助(FMS)」に基づく高額兵器の輸入が急増し、FMSのローン残高は本年度1兆1千377億円と5年前の約6倍に拡大している。19年度に支払い時期を迎えるローンは、国内産兵器分と合わせて2兆647億円。同時に支払額より4400億円多い2兆5100億円の新たなローンが発生する「自転車操業」の状態になっている。
防衛省は19年度予算で、本年度当初予算の2.1%増となる過去最大の5兆2986億円を要求しているが、ローン返済額(歳出化経費)と人件費・糧食費を合わせると要求の8割を固定経費が占める。そのため、例年は2000億円程度を盛り込む米軍再編関連経費の額を財産要求に盛り込まなかった。防衛省の幹部はこれまでの取材に「要求額を小さくしていると批判が来ることあ分かっていたが、そうせざるを得ないほど後年度負担(兵器ローン)がのしかかっている」と証言していた。本年度2200億円を計上した米運再編関連経費は、年末に作成する19年度予算案にも計上する必要があり、その分を削減する必要に迫られている。そのため今回、装備品代金の支払い延期という異例の要請に踏み切ったとみられる。防衛省の幹部は「歳出化経費(ローン返済額)が膨らみ、予算内に収まらなくなっている。それを削減するため、単なる支払い延長では企業側に受け入れてもらえないから、追加発注を含めて依頼している」と話している。
返済先送りではない 防衛省会計課の話 契約変更の説明会で、装備品の部品不足に備えて在庫を確保するため、追加で発注する仕組みを提案した。発注規模や金額は、まだ検討段階で分からない。支払いを後ろに延ばすのは、いろいろな契約の方法の一つで、歳出化経費の先送りではない。
調達改革の一環 財務省主計局の話 防衛省には歳出の抑制に取り組んでもらっている。調達改革の一環として、防衛省が部品の大量発注によるコスト抑制を図ろうとしているのは一定の評価ができる。

 


31面:「つらい」「企業にメリットない」 「防衛省から話を聞いて社内でも『大変だ』となった」。防衛省が国内の防衛企業62社に求めた装備品代金の「支払い猶予」が業界に大きな波紋を広げている。「支払いを遅らせてくれ、というのはつらい」「我々にメリットはない」。企業側は戸惑いや反発を強めており、年末の予算作成に向け、どれくらいの企業が応じるのか、先行きは見えない。(「税を追う」取材班)
「防衛省から『今、厳しいからよろしくお願いします』という話があった。来年度に全部の後年度負担(兵器ローン)を支払えないから、少しでも額を減らしたいのだろう。防衛省は本当に切羽詰まっている」支払いは延期の要請を受けた防衛商社の幹部はそう証言する。11月初めに防衛省で開かれた説明会は多数の企業関係者で埋め尽くされたという。席上、防衛省の担当者は「自衛隊の安定的な運用のため、必要な部品の追加発注をしたい」と説明したという。だが、部品の追加発注だけなら新たに契約すればいいはず。既に入札や契約を終えた部品の支払いを延ばす理由はならない。
「米国から高額な兵器をいっぱい買った。その支払いがどんどん増え、しわ寄せが来ている」と、この幹部は分析する。部品メーカーの担当者は「キャッシュ(現金)が入ってこない状況が厳しいのは、どこの会社も同じ。お金を借りなければいけなくなってしまうからだ」と戸惑いを隠せない。「うちだけでなく、どの会社も対応が厳しいと言っている」別の防衛商社幹部は「入札して(納入する)数量が決まっているものを、『数を増やしてやるから代金を後払いにさせてくれ』というのはあまり考えられない」という。この商社には支払いの延期要請は来ていないが、「数量や代金支払い時期の変更は、大きな契約変更で内内でやる話ではない。後日、公表しなければおかしい」と批判する。防衛省が予算不足で支払いを先送りする「繰り延べ」は、1997~2012年度までは毎年繰り返されたが、今回のように最終期限を延ばしたり、追加発注を抱き合わせにすることはなかったという。
安倍政権は毎年防衛予算を増やしており、13年度からは、繰り延べはなくなっていた。だが、米政府を窓口にした対外有償軍事援助(FMS)による兵器の輸入が進み、毎年返済額を超える新たな兵器ローンが発生。今回の支払い延期要請につながったとみられる。防衛省会計課の担当者は「歳出化経費(兵器ローン返済)の先送りではない」と否定するが、本紙記者が「企業側は先送りと受け止めています」とただすと、こう漏らした。「中には、そう受け止める方もいるでしょうね」

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