12月4日 教えて! NHK受信料【4】

朝日新聞2017年11月29日7面:「視聴率競争」とは無縁ではないの? 昨年度上半期、NHKは民放優位とされるゴールデンタイム(夜7~10時、関東地区)の視聴率でトップに立った。「誇るべき出来事」。今年度初めの職員向けのあいさつで、当時の籾井勝人会長は振り返り、こう述べた。「質も大事だが、多くの人に見てもらうことも大事」 視聴率が広告収入に影響する民放に対し、受信料に支えられるNHKは「視聴率競争」とは無縁ではないのか。番組の評価についてNHKは「視聴率だけで行うべきではない」として、質的評価や反響、ウェブ調査など多様な指標を挙げる。だが現場からは、視聴率優位の考え方が浸透しつつある様子が浮かぶ。「中身が評価されても視聴率が低いと肩身が狭い」(ドラマ演出担当者)「視聴率が低いと出演者を出してくれてる事務所に申し訳が立たない」(朝ドラに関わる職員)
ニュース番組に関わる職員は「視聴率が悪いという理由で責められたことはない。視聴率が全てという文化はない」と言う。だが、ニュース番組でも1分ごとの視聴率を示し、折れ線グラフで数字が伸びた部分を「上り坂」と呼ぶという。昨春の番組改編では20年以上続く報道番組「クローズアップ現代」の時間変更が話題を呼んだ。安定した高視聴率がの「ニュース7」に続く夜7時半から夜10時に。かわって「鶴瓶の家族に乾杯」「ファミリーヒストリー」(現在は夜10時台)などの人気番組を前倒しした。NHK幹部はこう解説した。「客が来てくれるよう、視聴率の曲線を変えようということ。自分たちがやりたいことをやっているだけではいけない」
好調な視聴率を誇るNHK。だが元NHKディレクターの北折一さん(53)はそんな古巣を危ぶむ。「今のNHKは残念な形でバラエティー化している」。芸能人の多用や軽い調子のナレーション・・。「視聴者のレベルを低く見る番組づくりがされている」例えば、自身が手がけた「ためしてガッテン」の後続番組「ガッテン!」。2月、糖尿病の治療や予防に睡眠薬を直接使えるかのような行き過ぎた表現が問題になった。「『この情報を出せば視聴者が食いつく』と考えたのではないか」 北折さんは言う。「視聴者が受信料を払うのは『信頼』できるから。今のNHKは信頼よりも視聴率を求めている感じがある」
NHKの番組制作に長年携わる制作会社の幹部も変容を感じている。一つが、番組構成。「『つかみ』で興味を引こうとする民放のような構成が増えた」。冒頭で番組の概要を見せて興味を引き、他局に変えられないようにする手法だ。ほかにも、企画段階で芸能人の起用を求めてきたり、放送後に視聴率の結果が送られてきたり。以前はなかったことだという。公共放送をうたうNHKの番組で、大事なのは多様性だと考えてきた。「視聴率をみなが求めたら番組が画一化する。一番大切にすべきものを狭めてしまう」(湊淋子、滝沢文那、小峰健二)

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