12月31日 安倍政権の5年 評価は

朝日新聞2017年12月26日4面:識者2人に聞く 安倍政権は26日、2012年12月の第2次内閣発足から5円ンを迎える。第1次内閣を除いても戦後4位の長さとなっている安倍晋三首相の政権運営について、ジャーナリストの田原総一郎氏と元大手証券エコノミストで法政大教授(経済学)の水野和夫氏に評価を聞いた。


ジャーナリスト田原老一郎氏「自民も官僚ももの言えない」 
-安倍晋三首相の再登板から丸5年になります。 安倍さんのいちばんの自慢は完全失業率が3%を切り、有効求人倍率は全国で1倍を超え、株価も2倍以上になったということ。見た目は悪くないが、経済は大きく成長せず、企業は設備投資をしていない。経済界はすでに2020年の東京五輪後を心配している。
ーそれでも経済界はおおむね政権を支持しています。それほど長く維持できている理由は何ですか。
米国に嫌われないようにしているといところもある。2013年末に靖国神社を参拝した直後、電話で「とんでもないことをやったな。二度と行くな。また行ったら米国は歴修正主義者と決めて反安倍になるぞ」と忠告した。それ以後、参拝しなくなった。
ー第1次以来の地金の政策は進め、次は憲法改正をめざしています。 思い出すのは宮沢喜一元首相が言っていた言葉。「冷戦が終わり日本人は自分の体に合った服を作りたくなった」と。それは憲法を変えて自衛隊を戦える自衛隊にしようということ。今は戦前のような怖さを感じる。戦争を知っている世代の自民党の首相は憲法9条改正を言わなかったが、安倍さんはできれば戦える自衛隊にしたいのだろう。
ー安倍首相は自衛隊明記案を掲げています。 安倍さんは国民投票で否決されたら「自衛隊が憲法違反ということになりかねない」という理由で、何とか否決されないようにもっていこうとしているのだと思う。
ー政権はさらに続くとみているのですか。 小選挙区制で自民党もイエスマンになり、官僚も人事をにぎられ官邸にものが言えない。その結果が森友・加計問題で、長期政権の罪の部分が出てきている。野党やメディアは「財政はどうするんだ」ともっと言わなきゃいけない。金融緩和と財政出動の出口をどうするのか。そこが日本のいちばんの問題だ。


法政大教授 水野和夫氏「利益・賃金 偏りを直すべきだ」
ー安倍政権の経済政策をどう評価しますか。 このまま異次元の金融緩和を続けても、政権が掲げる2%の物価上昇にはならないし、名目GDP(国内総生産)の3%成長もうまくいかない中で「成長と分配」ということになった。消費税の使い道を変えて教育無償化に充てるのは一定評価するが、その前にやるべきことがある。
ーやるべきこととは。 その20年間続いてきた企業利益と賃金のゆがだ偏りを直すことだ。97年ごろから、企業利益は上昇傾向で史上最高値を更新しているが、働く人の実質賃金は15%も下がった。その上、この5年で持てる人と持たざる人の分断が深まった。安倍政権で突然始まったわけではないが、戦後2番目の景気回復でもまったく歯止めがかからない。金融資産を持たない人の割合が3割もいる。
ー安倍首相は財界に対して、賃上げ要請をしています。 真っ当だと思うが、ようやく、という感じはする。406兆円に上る企業の内部留保と、1845兆円の個人金融資産に課税しなければいけない。時限立法で十分、不平等を正せる。消費税の使途変更だけで「分配をやっています」というのは、過去20年間の失政を無かったことにするのと同じで許されない。
ー野党は経済政策に関する明確な対立軸を打ち出せていません。 「成長と分配」が両立しないことを旗印に掲げ、分配だけ訴えればいい。経済成長であらゆるものを解決しようという近代の発想は、もう古い。前例はなくても、野党はポスト近代に向けて「ゼロ成長」の代替案を出さなければいけない。
ー成長は難しいということですか。 これだけの議席と支持率を持っている安倍政権が「異次元の金融緩和」を続けても、長期金利が全然上がらないのは、「成長」の時代が終わったからだ。安倍政権は一生懸命にやっているのだろうが、逆説的に成長の時代が終わったことを証明する役割を果たすことになるだろう。

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