12月23日てんでんこ 奥尻から【6】

朝日新聞2017年12月19日3面:商売で貢献したい。逮捕された町長の息子は父と違う道を歩み、事業を起こす。 北海道奥尻町の西側にある元硫黄鉱山で1日、地熱発電所が動き始めた。地下約160メートルから噴き出る毎時50トン、160度の熱水を利用し、2機のタービンを回す。東京都の八丈島に続き、全国2番目の離島地熱発電だ。重油を運んで火力発電するより、自前のエネルギーは安全かつ割安だ。「電気自動車も普及させ、エコアイランドにしたい」。手掛ける越森石油電器商会社長の越森修平(58)はそう話す。北海道南西沖地震当時の町長で、その後に競売入札妨害容疑で逮捕された故越森幸夫の長男だ。
「次はお前の時代」と言われて育ったが、父に比べられるのは嫌だった。早くから「商売で島に貢献しよう」と決めていた。父の逮捕はショックだったが、島を出ようと思わなかった。1984年にも父は逮捕され、その際に島に戻って家業の給油所を継いでいた。地震の時、父と公宅で衆院選の情勢分析をしていた。津波を直感し、沿沿いの資材置き場へ走った。石油タンクが壊れ、タンクローリー3台が流されたが、燃料を確保して土砂崩れ現場の重機に供給し、救出を手伝った。
その後、復興特需に加え、フェリーへの給油やプロパンガス配給など得意先を広げ、年間4億円だった売上高が7億円に伸びた。だが、いまは人口減少の影響が深刻だ。燃料費も比例して減っていく。2001年、コンビニを始めた。昼や夕は車の行列もできる。でも道内や全国の統一価格にするため、輸送費のフェリー代だけで年間1千万円も負担しなくてはいけない。冬のフェリーが1日1便で欠航するのも痛い。売上高は下降線だ。
08年には水産会社も起こした。札幌の企業と共同開発した氷温凍結技術でイカやホッケを刺身やしゃぶしゃぶ材料に加工し、産地直送の奥尻産として首都圏などで売った。8千万円かけたが、漁師が流通業者に気兼ねしたり記録的な不漁になったりで休眠状態だ。町が放置していた温泉井戸に着目して始めた地熱発電は、島の消費電力の10%供給が当面の目標だ。「町に養殖や温泉で二次利用してもらい、島の新しい魅力にしたい」と期待する。(宗潤敏)

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