12月2日 未来ノート 平野美宇

朝日新聞2017年11月26日17面:最初のおねだり お留守番イヤッ母の教室に 「ママの卓球教室に入れて」。平野美宇(みう)(17)の生まれて初めてのおねだりだった。泣き叫びながら、母・真理子さん(48)の服の袖を引っ張ってせがんだという。3歳5ヵ月になる2003年9月のことだ。筑波大卓球部の主将も務めた真理子さんは、山梨県中央市の自宅2階で卓球教室を開いていた。平野は「1階でお留守番をしていたけど、離れるのが嫌で・・。『絶対やりたい』って、おねだりした」。 翌日も、平野は泣いてせがんだ。普段は聞き分けのよかった娘の姿を見た真理子さんは言った。「教室のみんな迷惑にならないくらい上手くなったら、入れてあげる」。こうして、ラケットを握ることになった。
最初の練習は5分だけだった。「うまくならなかったら教室に入れない。プレッシャーがあった」と平野。真理子さんは「何でも没頭する性格。折り紙がよれよれになるまで、鶴を折ることもあった」と語る。 4歳になる直前の04年4月。願いがかなって教室に入り、地域の大会に出場した。「対戦相手も応援してくれたのを覚えている」。家族が特注の小さなユニホームをプレゼントしてくれたことも、とてもうれしかった。
特別支援学校教師だった真理子さんは、飽きないように遊び感覚の練習を採り入れた。ラリーが続いた回数だけ碁石を並べたり、大好きなキティちゃんのぬいぐるみを台に乗せて的当て練習をさせたりした。そして小学1年生になった07年7月、全日本選手権バンビの部(小2以下)で初優勝。試合後のインタビューで「夢は五輪で金メダル」と初めて言った。「夢はキティちゃん屋さんじゃないの」と母に尋ねられると「違うの」と返した。「お花屋さんとかケーキ屋さんの感覚で『キティちゃん屋さん』と言っていた。でも、五輪をもっと目指そうと思って」。明確な夢ができた瞬間だった。(前田大輔)

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