12月15日 ふたたび・私の証あるがまま行く 日野原重明

朝日新聞2017年12月9日Be9面:悪夢をどう乗り越えたか【上】 私は実は99歳までは一日平均5時間ほどの睡眠時間でちょうど良く、週に1日くらいは、原稿の執筆作業などで徹夜することさえありました。しかし100歳になってから、そういう睡眠時間の少ない生活習慣を続けることは体にも良くないのではと考え、ようやく「早寝・早起き」を実践するようにしました。夜は午後10時ごろ寝て、朝は午前5時半あるいは6時くらいには起床し、そのことで体調も気分も良好に保てていました。ところが10月下旬、私はこれまでの人生で経験したことのない、奇妙な悪夢を見たのです。
102歳の誕生日の10月4日前後から、直後の渡米も含めた私の約1ヵ月の活動量については、周囲から「超人的」と言われるほどだったのですが、私の心身にとっては、実のところ「超過労」に違いなかったのです。10月7日から8日間、米国西海岸に滞在し、帰国後間もない17日には、講演のため神戸に日帰り出張しました。その晩のことでした。お疲れが絶頂に達していたのでしょう。夜9時半に自宅で床に入り、翌朝11時半まで、気付けば14時間も寝続けていたのでした。その間、3時間ごとにトイレに行きたくなって起きてはいましたが、トイレから戻ると、またすぐ眠ってしまいました。14時間の睡眠など、それまでの人生では考えられない経験でした。しかも、もっと不思議なことに、振り返るとその間、私はずっと頭の中で、同じ悪夢を繰り返し見続けていたようなのです。
悪夢の設定は、私の職場である聖路加国際メディカルセンター(当時)からの帰路でした。今は車で通勤していますが、なぜか夢の中で、私は遠い昔に走っていた「汽車」に乗っていました。私は途中で下車したのですが、帰り道が分からなくなり、迷いに迷いました。そうしてついに、ダンテの「神曲」に出てくる「煉獄」の光景を目の当たりにし、驚きとともに目がさめたのです。起きてから「さすがに無理しすぎたか」と思いました。一方で、私の講演を待っている方々が大勢いらしゃる。そう思うことが私自身の生きがいとなっていることも、また事実です。その後、考えを整理してみました。

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