12月14日てんでんこ 皇室と震災Ⅲ「24」

朝日新聞2017年12月8日3面:「国民や政府がすべきことを天皇が代わりにしている。いわば相互依存関係」 今回の連載で、天皇、皇后両陛下が被災地訪問にあたり、時に意思を示して積極的に行動してきた事例を紹介してきた。そうした能動的な両陛下の姿は、いまの憲法が規定する「象徴天皇制」に適したものなのだろうか。憲法学者である西村裕一・北海道大准教授(36)は「具体的ないまの天皇という人文と憲法が考える天皇とが、究極のことろで相いれないものになってる」と述べる。 憲法上、天皇は「国事行為のみを行い、国政に関する権能を有しない」。被災地訪問や戦没者慰霊など国内外各地の訪問は憲法に定めがなく、憲法学上や政府の見解では「公的行為」と位置づけられている。
天皇陛下自身は、昨年8月8日に発表した「おことば」で地方訪問を「象徴としての行為」と位置づけ、務めを果たせないときは退位もやむ得ないとの思いをにじませた。法改正を直接求める内容ではなく、退位を実現する特例法成立の際は国民の発意により国会で法案が可決成立したとの形がとられた。
それでも西村さんは「おことば」によって議論の方向性が事実上決まってしまったことに対し「民主主義のプロセスをゆがめてしまった側面は否定できない。立法プロセスにおける天皇の意向は登場を憲法上正当化することは難しいのではないか」と疑問を呈する。
両陛下の発意で行われる被災地訪問などの「象徴としての行為」について、渡辺治・一橋大名誉教授(70)は「日本国憲法が象徴天皇に求める厳格な制限を全く遺脱した、民主的統制を免れた行為」として「公的行為としては一切やめるべきだ。被災地に行きたいなら一市民として自由に行けばよい」と説く。
一方、被災地訪問について瀬畑源・長野県短大准教授(41)は「政府の災害対策に不満があっても、両陛下の訪問を受けると被災者はその一瞬で癒され、元気になる。それは政府にとっても都合のいいこと」と指摘する。西村さんは「戦没者慰霊も被災地訪問も、国民や政府がすべきことを天皇が代わりにしている。天皇の側も、国民の支持を得て天皇制を存続させる手段ともなる。いわば国民と天皇との相互依存関係」と述べ、こう付け加えた。「国民が天皇の意向に動かされるのではなく、主体的に天皇の行動を認め、それをよしとするならば、憲法上問題とするのは難しいのではないか」(北野隆一)

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