12月13日 負動産時代 迫られる対応【3】

朝日新聞2017年12月7日7面:土地の価値 感じず塩漬け「カスみたいな土地。相続登記するメリットがない」宮城県角田市の男性(55)は、広島県三原市にある山林など計76平方メートルの土地を持て余している。2年前に亡くなった親族が持っていた土地で、男性は法定相続人の1人だ。だが、その土地は1908(明治41)年に登記されたまま放置されている。仮に相続人全員の同意を得たとして、男性が相続登記しようとすれば、登録免許税や司法書士への手数料など少なくとも5万円程度はかかるとみられる。見に行ったことすらなく、利用価値を感じない土地の登記に、それほどのお金をかける気にはなれないという。
 三原市内には男性の母親が暮らしている実家もあるが、名義人は11年前に亡くなった父親のまま。いずれ男性と弟の2人が相続するが、「誰も持ちたいと思っておらず、将来は押し付け合いになりそうだ」と、今から気をもむ。相続登記されず、長年、亡くなった人の名義のまま放置された土地は、子や孫の代になってねずみ算式に相続人が増え、所有者不明の「塩漬け土地」になっている可能性がある。
年1800億円の損失 有識者でつくる所有者不明土地問題研究会(座長・増田寛也元総務相)の推計では、こうした土地の総面積は九州より広く、土地を有効活用できなほどの経済的損失は年1800億円にのぼるという。
相続登記がきちんと行われるようにになければ、所有者不明の土地は際限なく広がりかねない。来年度の税制改正では、登記を促すため、長年登記されないままになっている土地などの所有権を登記する際の登録免許税を軽減する。また法務省は、未登記の土地の調査費用などとして約24億円を来年度当初予算に盛り込むよう求めている。登記簿や戸籍などから法定相続人をたどり、登記を促すという。ただ、こうした対策はあまくで「小手先」で、所有者不明地問題の根本的な解決にはならないとの見方が政府内にもある。
登記義務化案も そこで浮上しているのが、「登記の義務化」の是非をめぐる議論だ。いまは相続登記は義務ではない。土地には必ず価値があるという前提で、「相続人が登記したがらない」という事態を想定していないためだ。登記を相続人の義務にすれば、所有者不明土地の拡大に歯止めをかけられる可能性が出てくる。
義務化の是非は、登記制度のあり方などを検討するため法務省が10月に立ち上げた研究会で議論される見通しだ。義務化となれば明治時代に不動産登記法が制定されて以来の大改革になる。だが、民法学者の間では「登記されたかどうかを監視できるのか」「科料を設けても、登記費用より安ければ登記は進まない。かといって重罰にはできない」など、義務化の実効性を疑問視する声もある。義務なのに登録免許税を課するのかとの声も出かねないため、法務省は「登記問題は研究会で大議論になるだろう」(民事局幹部)とみる。
研究会は来年度中に登記制度をめぐる方向性を打ち出したいとしている。(大津智義、小松隆次郎)

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