12月10日 年金漏らさずにもらうには

朝日新聞2017年12月4日29面:申請必須、時効分は受け取れず 東京都内に住む主婦(65)は年金記録問題が発覚した10年前、社会保険事務所(当時)を訪ねて結婚前の旧姓の記録を捜してもらった。すると、結婚するまで働いていた6年分の記録が見つかった。「もらえるのは65歳から」と思い込んで手続きを忘れていたが、今年になって申請。60歳からの年約7万円と、63歳からの年約19万円を受け取った。「まさか自分の記録が『宙に浮いていた』なんて」 横浜市の女性は昨年6月、母親を89歳で亡くした。年金事務所で死亡手続きをした時に年金加算金の支給漏れが判明。月約1万8千円が25年分、未払いだった。
しかし、支払われたのは直近の5年分だけ。残りは時効で、受け取れない未払い文は400万円を超える。加算金を受け取るには65歳の時に申請が必要だったと後から知った。女性は「生前、母は『年金が少ない』と驚いていた。保険料をコツコツと払っていたのに悔しい」と嘆く。
年金は原則、申請しないともらえない。社会保険労務士の諸橋奈菜さんは「他人任せにしなこと。『ねんきん定期便』が届いたら必ず見て」と注意を促す。ねんきん定期便とは毎年1回、生まれた月に郵便で届く。50歳以上なら、①これまでの年金の加入期間 ②老齢年金の種類と将来受け取る見込み額 ③最近の保険料の支払い状況ーが記されている。
さらに59歳になる月に水色の封筒で届く定期便には、①~③に加え、これまでの年金加入記録も載ってくる。諸橋さんは「転職や結婚で年金記録が落ちていないか確認し、不備があれば年金事務所で相談を」と呼びかける。
しかし、定期便には9月に支給漏れが発覚した。「振替加算」の欄はない。社労士向けの年金教室を開く服部年金企画(東京都中野区)の伊東勝己社長は「年金事務所で記録を確認した方がいい。対応する職員の知識にばらつきがあるので、セカンドオピニオンを求めてはどうか」と提案する。混んでいると相談できない可能性もあり、訪問前の予約(ねんきんダイヤル0570.05.1165)を勧める。ほかに全国社会保険労務士会連合会が運営する「街角の年金相談センター」や、年金相談に応じる金融機関を利用する手もあるという。
仕組み知り備えよう 年金のもらい忘れを防ぐには、年金の仕組みを理解することも重要だ。ファイナンシャルプランナー加藤あやさん(44)はボランティア団体「ひめまま杉並」を立ち上げ、昨年末から都内で女性向けに「ハッピーねんきんセミナー」を開いている。個人が支払う年金の保険料は積み立てているのではなく、今の高齢者を支えるために払うという支え合いの仕組みを説明。将来もらえる年金額が目減りしていく現実を伝える一方で、「年金のすごいところ」も紹介する。
最大のメリットとするのは、亡くなるまでもらえる「終身年金」という点だ。高齢になること以外に、障害を負ったり配偶者が亡くなったりするリスクに対応している点も挙げる。将来が不安な若い世代向けには「貯金使い切り終身年金活用法」を提唱。年金額を増やすため、もらい始める時期を遅らせ、それまでの生活費を貯金で賄う方法だ。年金をもらい始める時期は原則65歳だが、これを70歳に繰り下げると年金は42%増える。例えば、65歳で退職し、その後の生活費が毎月35万円必要なら、70歳までの5年分として計2100万円をためておく。そのような目標を立てて、若いうちから家計を見直すという考え方だ。
加藤さんは「将来が不安で暗くなるのではなく、やれることを前向きにやる。そのために選択肢を知っておくことが大切だ」と強調する。(見市紀世子)
年金の支給漏れ=が繰り返し問題になっています。自分の年金を守るには、どうすればいいのでしょうか。「制度が複雑すぎて分からない」とあきらめていませんか? 専門家に聞きました。
厚生労働省は9月、「振替加算」の支給漏れが約10万6千人分見つかった発表した。厚生年金の加入者の配偶者が条件を満たせば、65歳から受け取る基礎年金に一定額上乗せされるもの。支給漏れは総額約598億円にのぼり、日本年金機構が未払い分の全額を支払う。2003年には社会保険庁(当時)のコンピューターシステムの不備で、約3万3千人分、計約250億円の加算金の未払いが発覚。07年には、約5千万件の年金記録の持ち主が不明の「宙に浮いた年金」や、保険料を払ったのに記録がない「消えた年金」が大きな政治問題になった。

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