11月6日 有権者は納得していない

東京新聞2017年11月1日25面:投票と白紙委任は別 今衆院選では、南スーダンPKO日報問題や都議選での「自衛隊としてお願い」発言で防衛相を辞任した稲田朋美氏(福井1区)、復興相時代に政治資金問題や過去の下着窃盗疑惑が報じられた高木毅氏(福井2区)、「がん患者は働かなくていい」など問題発言を繰り返した大西英男氏(東京16区)ら自民党議員がいずれも再選している。
稲田氏は当選直後、報道陣に「(説明は)有権者に伝わったと考えるが、足りない点はこれからも説明責任を果たしたい」と述べたが、東京の議員会館内の事務所に電話すると、職員は「マスコミ担当の者がいないんで。はい、どーもー!」と電話を切った。
選挙で当選さえすれば、疑惑や問題の説明が不十分でも、いわゆる「みそぎ」済んだことになるのか。「そんなことあるかい」と怒るのは、市民団体「政治資金オンブズマン」の一員として、数々の国会議員を刑事告発してきた坂口徳雄弁護士だ。「政治資金規正法違反などの疑惑は、当選したからいって、晴らされたということにはならない」と力説する。
坂口弁護士は下村氏の疑惑についても東京地検特捜部に告発している。ただ、特捜部側は慣例に反し「告発を受理したか否かは言わない」という方針を示している。「まさか検察が下村氏側に忖度したことはないだろうが」(同弁護士)一橋大の中北浩二爾教授(政治学)も「『選挙で当選すれば、疑惑が解消された。みそぎは済んだ』という解釈は理解できない。安倍首相も下村氏も加計学園関連の問題について説明すると言ってきた。それをしていない状況は、選挙を経ても何ら変わらない」と指摘する。
中北教授は有権者が投票する際、候補者の疑惑・問題は判断材料の一つであって、ほかに所属する党や本人の政策、業績など多様な要素に左右されるので、当選したからと言って、一票を入れた人が疑惑や問題について納得したとは限らないと説く。中北教授は「国会で野党の質問時間まで短くするのは、安倍首相が強調した『謙虚な姿勢』に反するのではないか」と批判した。


国会会期実質3日? 「謙虚な姿勢」に逆行 大勝した衆院選の結果を受けても笑顔を見せず、「謙虚」「真摯」な政権運営を務めると強調した安倍晋三首相だが、その後は首相発言とかけ離れた政府・与党の姿勢が目立つ。
政府・与党は1日に召集される特別国会の会期を、外交を理由に8日間とする案を野党に提示している。連休やトランプ米大統領の来日を除けば、実質はわずか3日間。事実上、首相指名選挙のみとなる。これに対し、野党は反発しており、31日現在、会期は決まっていない。
さらに自民党からは現在「与党2割、野党8割」としている各委員会での質問時間を議席数に応じた配分にする要求まで飛び出した。森友、加計学園疑惑の質疑を避ける形で衆院選は実施されており、「疑惑逃れ」との指摘が上がる。そもそも政府の法案や予算案は、国会に提出される前に与野党に諮って了承を得ており、与党から批判や対案が出ることは少ない。
実際、カジノ法案を審議する昨年11月の衆院内閣委員会では、自民の谷川弥一氏が「質問時間が余っている」として般若心経を唱えるひと幕もあった。加えて、現在の時間配分は、民主党政権時代に野党の質問時間を増やすよう求めた自民党の意向が反映されたという経緯もある。
首相は衆院選翌日の会見で、両学園門問題について、「当然これからも、国会で質問いただければ、丁寧にお答えをさせていただきたい」と述べたが、その言葉は上滑りしている。


デスクメモ 野党の質問時間削減という要求は文字通り「問答無用」と言い換えられる。それは「あんな人たち」という首相発言と通じる。ただ、その根は深い。引きこもりや攻撃的なネットの文体。敵と味方の二分論は社会にまん延している。それが背景にないか。分断社会の溝が黒々と広がる。(牧)

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