11月28日 教えて! NHK受信料【2】

朝日新聞2017年11月23日5面:「任意の支払い」その訳は? 岩波新書「NHK」を著した松田浩さん(87)は、日経新聞で1962年から25年間、放送担当を務めた生き字引のような存在だ。73年7月。東京・渋谷のNHKにほど近い中華料理店で、記者仲間とNHKの前田義徳会長を囲んだ。3期9年にわたり会長職にあたったが、確実視されたていた続投を逃し、ねぎらうための宴席だった。
「これだけは言い残したい」。最後に会長が口を開いた。「政府の介入に大きく余地を残した現行放送法の問題点を、諸君、どうか真剣に考えてくれたまえ」新聞記者出身の前田氏は副会長時代の63年、放送法のあり方を議論する郵政相(当時)の諮問機関に、自らが中心となって政府からの独立と財政基盤の強化をめざすNHKの方針を示した。独立行政委員会制度の導入と、支払い義務化が柱だった。結局、改正法案は廃案となった。
支払い義務化について松田さん自身は当時も今も、反対の立場だ。「任意で支払う受信料制度。自らの意思で支え、その分注文を付ける。参加意識が必要だ」制度の原流には戦後、連合国軍総司令部(GHQ)が推し進めた「放送の民主化」がある。高野岩三郎会長は46年の就任あいさつで述べた。「太平洋戦争中のように、もっぱら国家権力に駆使され、いわゆる国家目的のために利用されることは、厳にこれを慎み、権力に屈せず、ひたすら大衆のために奉仕することを順守すべきである」
憲法公布を機に放送法、電波法など電波三法が整備され、50年に施行された。当初案で政府が主張した報道規制事項は削除され、政府から独立して電波・放送行政を担う電波監理委員会が設置される。
それ以前、受信機の設置は許可制で違反すれば罰則もあった。新しい電波法では受信機の設置は自由に。「言論の自由が確保され、検閲が出来ない国になったのだから、設置許可の理由を認められない」(当時の政府答弁)。放送法は「受信機を持っていればNHKと契約しなければならい」としたが、所有者が申し出る義務はない。契約につきまとう「任意性」はNHKの宿命となる。
GHQの方針の変更もあり、民主化は長く続かなかった。吉田茂内閣は占領終了後まもなく電波監理委員会を廃止するなど、政府の監督権強化に踏み出す。受信料で成り立つNHK予算案は国民の代表とされる国会の承認が必要で、「全会一致」が慣例だ。松田さんは「政府・与党は予算を人質にとって介入してきた」と指摘しつつ、全会一致の意義を説く。「視聴者には少数政党の支持者もいる。放送法の民主的な精神が尊重されている」(滝沢文那)

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