11月16日てんでんこ ブラックアウト「2」市民

朝日新聞2018年11月10日3面:ほぼ全域の停電で情報はスマートフォン頼り。充電を求めて街を歩いた。 9月6日午後2時ごろ、千葉孝子(54)は札幌市中央区の自宅から、歩いて市中心部へ向かった。午前3時過ぎの地震発生から11時間が経っていたが、停電が続き、大きな交差点以外は信号が消えていた。目的地は携帯ショップ。スマートホォンの充電のためだ。自宅ではガスも水道も使えたが、テレビが見られず、情報はスマホ頼りになった。電池の残量を考えると、道外の友人や親戚から次々に届く心配のメールに返信もできない。ついに充電が切れてしまったが、頼みの店は混み合い、充電サービスは定員に達して受けられなかった。
北海道の魅力を発信するウェブサイトの編集長をしており、勤め先の電気の復旧を期待して向かう途中、明かりがともる場所があった。市中心部のさっぽろテレビ塔に近い北海道神宮頓宮だ。社務所には、赤ちゃん連れや出張中の会社員、外国人旅行者など、様々な人が身を寄せ、避難していた。
「充電? できる。やっていきな」。まちづくりに取り組むメンバーが運営を切り盛りし、社務所の玄関前の長机にテーブルタップがいくつも置かれていた。近くの高層マンションの住民が境内に水をもらいに来ていた。停電でポンプが動かなくなったらしい。「え、寒暖で戻るの?」。神輿会の若者たちがお年寄りのタンクを代わりに持って上がる。トイレットペーパーが足りなくなり、呼びかけると住民が持ち寄る。赤ちゃんのミルク用にとポットを提供する人もいたという。
「札幌全域が断水になる」とSNSで流れた。「6時間後に」など具体的だ。ほどなく、水道局が否定との新聞社などのツイートが出て、情報はデマだと分かった。災害時にこそ、住民同士のつながりは力を発揮する。自分の頭で考え、行動する個人の力も試される。それが今回の地震で学んだことだ。日が落ちた真っ暗な帰り道、すすきの交差点の近くで、ジンギスカンのにおいが漂ってきた。「なんも、なんも。お金なんて気にすんでない」。冷凍ができなくなり、通行人に振る舞っているのだろう。見上げると、星が一つずつ、見分けられるほどの星空だった。 (片山健志)

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