11月11日 自民党の大学授業料無償化案

東京新聞2017年11月7日26面:実際は後払い言い換えで強弁 自民党の教育再生実行本部は2日、大学など高等教育の無償化向け、制度設計の検討案をまとめた。しかし、看板こそ「無償化」だが、その中身を見ると、ただの後払いに近い。思えば、政府・与党はこうした事実と異なる言い換え表現を多用してきた。衆院選が終わっても、その性癖は変わらないようだ。
この検討案は、党教育再生実行本部の会合で提示された。全ての大学生や短大生、専門学校生らを対象に国立大学の授業料に相当する年約54万円と、入学金約28万円を補助するという内容。私立大や専門学校の授業料が上回る場合は、差額は無利子の奨学金で対応する予定だ。確かに在学中は授業料を払う必要がない。だが、補助を受けた学生らは、卒業後に一定の年収を超えた場合、受けた補助の総額分を分割して国に納付しなくてはならない。
注目される一定の年収は、大卒・大学院卒・短大高専卒の初年給の平均値である250万円以上、300万円以上など複数の案が出ているが、多くの学生が対象となるようだ。安倍首相は大学など高等教育の無償化を憲法改正項目に挙げ、今回の衆院選でも「貧しい家庭に育っても専修学校や大学に進学できるようにする」と訴えていた。しかし、この案に従えば、実現するのは無償化ではなく単なる後払いだ。
コラムニストの小田隆氏は「この理屈は、ラーメン屋さんが『食べている間は無料』と言っているようなもの。まるで釣りのルアー(疑似餌)のようなやり方だ」と苦笑いする。ネット上でも「後で返さなければいけないのに『無償』?」といった書き込みがあふれている。こうしたごまかしは、今に始まったことではない。7月に施行された共謀罪では、安倍政権は「テロ等準備罪」と言い換えた。1月の衆院代表質問では「テロ等の準備行為があってはじめて処罰の対象となるもので、共謀罪と呼ぶのは間違いだ」(首相)と野党を批判したが、中身は過去に3回、廃案となった共謀罪法案と大差なかった。
常套手段共謀罪でも 2016年12月、沖縄県名護市沿岸で米軍輸送機オスプレイが大破した際も安倍政権は「不時着」と表現した。だが、沖縄県の翁長雄志知事が使った「墜落」の方が現場の風景には近いという声が多かった。同月の臨時国会で成立した年金制度改革関連法は、年金支給額を抑える新ルールなどが盛り込まれたが、政府の呼称は「将来年金確保法」だ。15年9月に成立した安全保障関連法は、審議段階から「平和安全法制」と繰り返してきた。
小田嶋氏は「本質を隠す印象操作ため、言葉を軽く使っている。『有権者もこういう言い方で喜ぶんでしょう』との考えもあるのだろう。バカにするなと、有権者は声を上げなければいけない」と語る。「詭弁論理岳」の著書がある野崎昭弘・大妻女子大名誉教授(情報数学)は「詭弁は相手に納得させる高度な技術。だが、安倍首相がやっているのはろくに説明もせず、結論を押しつける『強弁』だ」と話す。
「撤去を転進、全滅を玉砕と表現して国民をだましていた戦前と同じように、実際とは異なるウソを平気で言う。もはや言葉の軽重の問題ではない」強弁は論理性の軽視と同義だが「強弁が受け入れられるのは、ネット上の書き込みが正しいか否かではなく、刺激的か否かに重さが置かれていることなど、社会が『その場しのぎ』になっていることも関係している。私たちも幅広い視点を持たなければ」と話した。(白名正和)

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