10月31日 アマゾン本社 誘致過熱

朝日新聞2017年10月28日9面:「次のシアトル」238地域名乗り ネット通販の世界最大大手アマゾンが、本社を置く米国西部シアトルとは別の場所に、新たに同じ規模の「第2本社」をつくろうとしている。北米全土から候補地を募ったところ、締め切りの19日までのカナダ、メキシコも含む計238地域が名乗りを上げた。税の軽減策や土地の提供にとどまらず、奇抜なアイデアで出し抜こうとするなど、主だった都市が繰り広げる争奪戦は過熱の一途だ。
ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は9月、「第2の故郷を見つける」と計画を発表した。前代未聞の内容で、マネジメント層と技術者中心に最大5万人を雇い、平均年収は10万ドル(約1130万円)超。投資額は50億ドル(約5650億円)以上を見込む。名乗りを上げた都市はPRに懸命だ。公募締め切り前夜の18日、エンパイアステートビルなどニューヨーク市の明建築がオレンジ色の明かりに染まった。アマゾンのイメージカラーだ。同市のデブラシオ市長は「人材の豊富さや多様性、ダイナミックな経済でどこにも負けない」とアピールした。
「アマゾンの名を冠した市を新たにつくり、ベゾス氏を市長に」「名物の巨大サボテンをベゾス氏に寄贈」。どうにかしてアマゾンの気を引こうという動きが相次ぐ。「ピッツバーグは信頼に足る選択肢」(ピッツバーグ・ポスト・ガゼット紙)など、地方紙には願望交じりの記事が載る。前のめりになるのも無理はない。巨大ハイテク企業の立地は、直接的な経済効果にとどまらず、都市の未来を丸ごと変える可能性を秘めている。
アマゾンのいまの本拠、シアトルこそ好例だ。航空産業の衰退で疲れていたが、ビル・ゲイツ氏率いるマイクロソフトが1979年、ニューメキシコ州から近郊に移ったことで運命が一変した。高学歴、高収入の専門職や技術者が急増。金融や法律、会計などの専門サービスも集積した。94年創業のアマゾンはその恩恵を受けて成長した。一帯はシリコンバレーに次ぐ全米有数のイノベーション都市に発展した。街を歩けば、活気は誰の目にも明らかだ。
ハイテク産業は「成功が成功を呼ぶ性質がある」(経済学者のエンリコ・モレッティ氏)。一度、差が開くと追いつくのは難しいが、アマゾン本社を誘致できれば「次のシアトル」への一発逆転も夢ではない。観光地として知られるフロリダ州オーランドは、ハイテク産業の育成にも乗り出した。地元経済団体を率いるティム・ジュリアーニ氏は「景気をよくし、仕事を生み出し、賃金を上げる。アマゾンですべてが実現できる」と話す。
応募した地域は税金の軽減策や土地の提供、インフラ整備など、優遇策を競い合わざるを得ない状況だ。最大70億ドル(約8千億円)の優遇策を示した州もあり、得点は史上最大規模に膨らむとの予測もある。どう転んでも最大の勝者はアマゾン自身というわけだ。あまりの過熱ぶりもあり、テキサス州サンアントニオ市は皮肉めいた書簡をベゾス氏に送り、誘致合戦から身を引いた。「先を見据えた企業のアマゾンが、まだ意中の場所を決めていないなんて想像しづらい」
アマゾンは2018年中に立地を決める。ニューヨークやサンフランシスコなど両海岸の大都市は広い敷地に乏しく、コスト高なのが難点だ。ニューヨークタイムズ紙は、内陸のコロラド州デンバーの可能性が高いと予想。ボストンやシカゴ、アマゾンが買収した高級スーパー「ホールフーズ」が本社を置くテキサス州オースティンなども有力候補といわれている。(ニューヨーク=江渕崇)

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