10月27日 問う 選択のあとで【上】

朝日新聞2017年10月25日1面:無競争 政党政治の危機 政党とは何か。深く考えさせられた選挙だ。民進党、そして希望の党の顛末を言い募っても仕方ない。ただ、この二十数年の政党政治の混迷が極まった、その象徴のようだった。投開票の2日前。東京・錦糸町の駅前に「主役」2人が並んだ。希望の党の小池百合子代表と民進党の前原誠司代表。雨傘を持つ聴衆に2人は同じフレーズを用いて訴えた。「AまたはBという選択ができる流れが必要だ」「AでなければB、BでなかればAとう緊張感を」と。
わかるようで、わからない。有権者にAかBか選択を迫る選挙にしたいという趣旨のようだが、2人が唱えた「安倍政治」を止めることと、政権をいまの野党が担うことは、必ずしもイコールではない。安倍晋三首相に不満があるが、いきなり野党に政権を任せようとは思わない。政権選択というのなら、消極的ながら自公政権に託すしかないー。そう考えた有権者が多かったのではないか。結果として、不支持率の高い首相が圧倒的議席を得て、続投になった。
二大政党制、政権選択という「幻想」をいつまで追い求めるのか。小池、前原両氏の失敗は問うている。小選挙区制に無理に合わせようとしても、政党の他力が伴わなければ政権は取れず、取っても失敗する。この20年余の歩みである。選挙制度のひずみを見直すことは必要だが、それを待ってはいられない。安倍政権の5年間に不満や疑問を持つ国民は多い。強い野党が出現し、緊張感のある国会論戦によって、政権をチェックし、暴走を止める。その実績を積み重ねこそ、幻想が実現へと変わり、「次の政権」の選択肢たりうる。議席を伸ばした立憲民主党も、すぐに自民党に代わる政権政党になれるわけではないし、すぐにめざすべきでもない。まして野党が政権を助ける補完勢力に堕すのなら、先はない。かつて第三極を標榜した政党が、ことごとく政権に近づいては瓦解した。維新が議席を減らし、希望が苦戦したのは、有権者がそうしたにおいをかぎとったからではないか。
自民党でも党内野党の存在が薄れ、自由に議論する活力が失われて久しい。石波茂氏は選挙で「国民がおかしいと思うことをきとんと言える政党に」と訴えたが、「ポスト安倍」候補たちが沈黙したままでは、議論なき「無競争の政治」が続く。政党政治の危機である。(政治部次長・松田京平)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る