10月28日 ギャンブル依存症 手薄な支援

朝日新聞2017年10月25日31面:厚労省「疑いのある人70万人」推計公表 ギャンブル依存症が疑われる人は全国で約70万人いるー。こんな推計を厚生労働省が9月末に公表しました。家族だけで解決するのは難しい場合が多く、早めに専門機関に相談することが大事だとされています。ただ、こうした相談先はまだ少なく、予防策も手薄のようです。佐賀県出身の男性(37)は大学時代、友人に誘われたのをきっかけにパチスロにのめりこんだ。卒業し、団体職員なってからは消費者金融から計130万円を借りた。最高で1日43万円勝ったことが忘れられず、「もっと勝ちたい、負けた分を取り戻したい、という気持ちだった」という。
24歳で結婚後、妻に借金がばれたが、親が肩代わりしてくれた。その後、警察官に転じ、数年間はギャンブルをやめていたが、29歳でふとパチンコ店に入ったのを機に再びはまった。計250万円を借金し、離婚・失職してもやめられなかった。「最後は嫌なことを考えたくなくてパチスロで現実逃避した。勝ち負けはどうでもよかった」 2年半前に、両親の勧めで山梨県にある依存症の民間回復施設「グレイス・ロード」に入所した。ギャンブルから離れる生活を続け、9月からは施設職員として働き始めた。広報担当者の植竹淳さん(41)は「いまだに『ギャンブル依存症は本人の意志の問題だ』と言われることがあるが、依存症は病気と考え、早めに対処すべきだ」と話す。
依存症は国際的な診断分類で「ギャンブル障害」とされる。精神科医の田辺等・北星学園大教授は「娯楽で始め、繰り返すうちに脳が『勝ち』の興奮を覚え、やめられなくなってしまう状態」と解説。「家庭や仕事に問題を抱えて解決できず、鬱屈(うつくつ)としているときにはまりやすい」とする。重度の人は自殺を図る割合も高いとされる。依存症の原因は明らかではないが、遺伝の影響や幼少期にギャンブルに触れているとなりやすいとの研究もある。一方、背景に発達障害など他の障害がある場合が少なくないとの指摘もある。
栃木県の男性(36)は高校中退後、仕事が長く続かず、両親にお金をせびりながらパチンコに没頭した。数年前に子どもができて結婚したが、ギャンブルが原因で離婚。両親への無心も激しくなり、断れると実家の部屋の窓を開けて大声を出すなどした。両親が支援団体を頼り、先月、長崎県の病院に入院。そこで発達障害の疑いがあると伝えられた。男性の兄(39)は「今思えば人付き合いが苦手な面はあった」と振り返る。
2000年に開設された回復施設「ワンデーポート」(横浜市)では、過去3年の利用者約70人のうち、約半数に発達障害や軽度の知的障害がみられたという。依存症そのものへの対処より、ギャンブルの代わりの楽しみを見つけたり、金銭管理を手伝ったりと、人生全体の支援に重点を置く。中村施設長は「依存症としてひとくくりにせず、一人ひとりの困難に寄り添う支援が必要だ」と話す。
回復・予防 態勢これから 依存症への対処法としては、まず医療機関の精神科による心理療法がある。ギャンブルの利益と不利益を考えたり、自分がギャンブルに求めているものを他に振り向けられないかを考えたりして依存症からの回復を図る。自助グループに入る手もある。GA(ギャンブラーズ・アノニマス)という米国発祥のグループが全国に約150ある。週1回ほど集まって匿名で体験を語り合い、考え方を変えていくことでギャンブルを遠ざけていくという。
重症の場合、民間の回復施設に入所して規則正しい生活をしながら、GAのような集いや心理療法などを行い、社会復帰を目指す方法もある。ただ、受け皿となる医療機関などはまだ少ない。厚労省は今年度からようやく、都道府県と政令指定都市でそれぞれ1ヵ所以上、専門医療機関を指定し、精神保健福祉センターには専門の相談員を置く取り組みを始めた。来年度からは、全国規模で依存症問題に取り組む自助グループなど民間団体への支援制度を創設する計画だ。
予防策も十分ではない。ギャンブル依存症に詳しい大谷大学の滝口直子教授(社会学)によると、世界中のパチンコやパチスロといった依存性が高いとされる「ギャンブルマシン」のち、約60%の台が日本にあるという。「海外のように、本人が負け額の上限を事前に設定できるようにしたり、若者向けの教育をしたりといった予防策が必要だ。財源として、国がギャンブル業界に拠出金を求めることも検討すべきだ」と訴える。(生田大介)

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